2006 Fiscal Year Annual Research Report
ダウン症候群に伴う急性巨核球性白血症の多段階発症の分子機構
Project/Area Number |
17013004
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
伊藤 悦朗 弘前大学, 医学部, 教授 (20168339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土岐 力 弘前大学, 医学部, 講師 (50195731)
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Keywords | ダウン症候群 / 急性巨核球性白血病 / TMD / GATA1 / BACH1 / JAK3 |
Research Abstract |
ダウン症は、約10%の症例にTransient myeloproliferative disorder(TMD)という前白血病を発し、その20〜30%は生後4年以内に急性巨核球性白血病(DS-AMKL)を発症する。本年度は、ダウン症の白血病発症の仕組みを分子レベルで明らかにするために研究を進め、以下の点について明らかにした。 1.21番染色体上のTMD責任候補遺伝子の一つであるRUNX1転写因子に注目し、解析を行った。その結果、GATA1がそのzinc fingerドメインを介してRUNX1と結合することを見出した。患者特異的GATA1変異体はそのzinc fingerドメインを介してRUNX1と結合し、GATA1とRUNX1の結合配列を持つ巨核球特異的なGP1bαプロモーターを相乗的に活性化した。この結果より、DS-AMKLの原因は、GATA1とRUNX1の相互作用の喪失のためではないことが明らかとなった。 2.TMDからAMKLに進展する時に加わるGATA1遺伝子以外の遺伝子変異を解析した。Pan JAK inhibitorによって、解析した3種類すべてのDS-AMKL細胞株の増殖と生存率が著しく低下した。そこで、JAKファミリーの遺伝子(JAK1,JAK2,JAK3,TYK2)の塩基配列を解析したところ、2つのDS-AMKL細胞株でJAK3遺伝子の変異が検出された。Ba/F3細胞にレトロウイルスベクターを用いて変異JAK3を発現させたところ、IL-3非依存性に増殖が認められ、活性化変異であることが明らかとなった。 3.21番染色体上の遺伝子BACH1の過剰発現が血小板造血を抑制する仕組みを明らかにするために、BACH1の標的遺伝子をBAC刑トランスジェニックマウスとコントロールマウスの巨核球を用いてmicroarrayで解析した。その結果、多くの候補遺伝子が得られ、解析を進めている。
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