2009 Fiscal Year Annual Research Report
ダウン症候群に伴う急性巨核球性白血症の多段階発症の分子機構
Project/Area Number |
17013004
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
伊藤 悦朗 Hirosaki University, 大学院・医学研究科, 教授 (20168339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土岐 力 弘前大学, 大学院・医学研究科, 講師 (50195731)
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Keywords | GATA1 / 転写因子 / ダウン症候群 / TMD / WL-DS |
Research Abstract |
ダウン症の白血病発症の仕組みを分子レベルで明らかにするために、本年度は以下の研究を進めた。 1. GATA1遺伝子変異がN末端の転写活性化ドメインを欠くshort form GATA1 (GATA1s)の発現量に与える影響ダウン症のTMDとML-DSの患者のほとんどにGATA1の遺伝子異常が認められる。遺伝子変異の結果、完全長のGATA1タンパクがまったく産生されなくなり、GATA1sのみが発現している。しかし、GATA1遺伝子変異がGATA1sの発現量に影響を与えるのかどうかは知られていない。この問題を解くために、まずGATA1の転写産物によってGATA1変異を分類した。TAM症例でみられた変異を導入したGATA1のcDNA発現ベクターおよびminigene発現ベクターを作成して、培養細胞に発現させて、in vitroの系でGATA1sタンパクの発現量を解析した。その結果、GATA1遺伝子の変異はGATA1sタンパクの発現量に影響し、遺伝子変異からGATA1sタンパクの発現量が予想できることが明らかになった。 2.GATA1sの発現量がTAMの白血病発症の危険度に与える影響 GATA1変異を高発現変異(GATA1s high)と低発現変異(GATA1s low)の二つのグループに分類した。2003年~2008年の間に遺伝子解析を行い、GATA1変異を認めた66例について解析を行った。GATA1変異により、患者をGATA1s highとlowの2群に分け、臨床データを比較すると、白血球数がGATA1 highの群で有意に高値であった。さらに驚いたことに、GATA1s low mutationをもつTAMは、白血病を発症するリスクが有意に高いことが示された。" 以上より、GATA1遺伝子の解析はTAMの確定診断に重要であるばかりではなく、予後を予想する貴重な情報を与えてくれると思われる。
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