2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17014011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋山 徹 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (70150745)
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Keywords | がん抑制遺伝子 / APC / Wnt / Asef / 細胞運動 / Sam68 / B9L / β-catenin |
Research Abstract |
がん細胞の異常増殖の分子機構を明らかにすることを目的として、大腸がんのがん抑制遺伝子APCやWntシグナル構成因子の機能を解析し、以下のような知見を得た。 1.我々は、APCがRac特異的GEF分子Asefと結合してこれを活性化し、細胞の形態、接着、運動を制御することを見出し、詳細な機能解析を進めてきた。本年度は、このAPC-Asef複合体がHGF、FGF、EGFなどの増殖因の作用によって活性化すること、局在が変化することを見出し、さらにHGFによる細胞運動の亢進に重要な役割を果たしていることを明らかにした。 2.さらに、APC-Asef複合体のがん細胞増殖における重要性を、Asefノックアウトマウスを用いた解析により証明した。 3.ヒト大腸がん検体におけるAsefの発現レベルを調べ、がん細胞ではAsefの発現が異常に亢進していることを見出した。 4.APCがsplicing因子Sam68と複合体を形成しTCFのsplicingを調節することを明らかにした。 5.β-cateninに結合してTCFによる転写を活性化する因子として見出したB9Lが、大腸がんの43%で過剰発現していることを見出した。 6.肺がんのがん抑制遺伝子LKB1が、LMO4、GATA-6、Ldb-1と複合体を形成し、CDKインヒビターの一種p21の転写を抑制し、細胞増殖を阻害することを見出した。
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