2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17014034
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
多久和 陽 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (60171592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 直俊 金沢大学, 医学系研究科, 講師 (80272954)
多久和 典子 金沢大学, 医学系研究科, 助手 (70150290)
吉岡 和晃 金沢大学, 医学系研究科, 助手 (80333368)
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Keywords | S1P / Edg受容体 / がん / 浸潤 / 転移 / 遊走 / Rac / Rho |
Research Abstract |
尾静脈内腫瘍細胞注入肺転移モデルにおける最初期段階と考えられている肺血管内腫瘍塞栓形成が、S1P・Edg受容体によりどのように制御されるかを、B16細胞を用いて検討した。Edg5強発現B16細胞にDsRed2を発現させた細胞株を樹立し、この細胞を尾静脈内に注入した後肺を摘出し、蛍光顕微鏡で胸膜直下の血管内腫瘍細胞塞栓を観察した。尾静脈内注入前に細胞をS1Pで処理すると血管内腫瘍細胞塞栓が減少した。この作用がEdg5選択的アンタゴニストによってどのように影響されるか。またEdg5とは逆に細胞運動を促進するEdg1強発現細胞に対するS1Pの効果を現在検討中である。内因性にS1Pを過剰産生しているスフィンゴシンキナーゼ(Sph-K)およびS1Pを分解するリアーゼの各トランスジェニック(Tg)マウスにおいて、B16細胞尾静注後の肺転移を現在検討している。Edg5ノックアウト(KO)マウスでは、B16細胞移植後の腫瘍増殖が野生型マウスと比較して低下している。この機序を現在検討中である。Edg5-KOマウスからMEF細胞を樹立し、増殖能、運動能、低分子G蛋白活性を検討している。これらのいくつかに野生型MEFとの間に差違が見られた。Edg5はS1P受容体の中で唯一細胞遊走に対して抑制的に作用する受容体であり、この抑制作用にRac抑制が関与していることを既に報告している。Edg5はホスホイノシチド3'-phosphataseであるPTENを活性化することが示されている。これと一致して、Edg5強発現B16細胞においてS1PはPI3キナーゼの下流に位置するAktのリン酸化を抑制した。siRNAによる選択的なPTEN発現の抑制はS1PによるAktリン酸化の抑制を阻害したものの、S1Pによる遊走抑制は阻害しなかった。従って、遊走抑制におけるPTENの関与は否定的であった。
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Research Products
(6 results)