2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17014034
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
多久和 陽 Kanazawa University, 医学系研究科, 教授 (60171592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 直俊 金沢大学, 医学系研究科, 准教授 (80272954)
岡本 安雄 金沢大学, 医学系研究科, 准教授 (80293877)
吉岡 和晃 金沢大学, 医学系研究科, 助教 (80333368)
多久和 典子 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (70150290)
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Keywords | S1P / Edg受容体 / がん / 浸潤 / 転移 / 遊走 / Rac / Rho |
Research Abstract |
生理活性脂質スフィンゴシン-1-リン酸 (S1P)は細胞表面に存在する複数のS1P受容体を介して作用し、がん細胞の運動・浸潤と低分子量G蛋白Rac活性をサブタイプ特異的に正負両方向に制御することを報告してきた。本年度は、われわれが作出したS1P情報伝達系を構成する種々の主要分子の遺伝子改変マウスと野生型マウス、ならびに受容体サブタイプ特異的薬理学的手法を用い、in vivo実験系における解析を行い、がん細胞と宿主細胞(とくに血管新生に関わる間質系細胞)双方に発現する内因性S1P受容体を介したがん転移・がん血管新生を制御する新たな治療法の可能性を追求した。その結果、これまでに報告したS1P2受容体を介するがん細胞へのダイレクトな運動・浸潤抑制作用に加え、新たに以下の知見を得た。(1)がん血管新生、とくに新生血管の成熟度は、宿主細胞由来のS1Pに強く依存すること(S1P分解酵素 S1P lyase (SPL)トランスジェニック(Tg)マウスを用いた検討)。(2)宿主細胞のS1P2受容体はがん血管新生と血管成熟を強力に抑制性に制御し、その結果、腫瘍の増大を抑制すること(S1P2受容体ノックアウトマウスを用いた検討)。(3)S1Pは転移モデルにおいて生存日数を決定する要因であること(SPLTgマウス、ならびにS1P産生酵素sphingosine kinasel(SPHK1)Tgマウスを用いた検討)。(4)宿主細胞に発現するS1P1受容体は転移を強力に促進すること(S1P1特異的アゴニスト、ならびにFTY720によるS1P1受容体ダウンレギュレーションの検討)、その機序は転移早期の腫瘍塞栓形成以降に作用点があること。 今後さらに、これらin vivo実験結果を分子レベルで説明する機序を見出し、S1P情報伝達系を介したがん転移のあらたな制御法の実現を目指したい。
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Research Products
(14 results)