2008 Fiscal Year Annual Research Report
日系移民のがんの疫学研究とその成果に基づく予防法の開発
Project/Area Number |
17015049
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
津金 昌一郎 National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East, 予防研究部, 部長 (40179982)
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Keywords | ブラジル日系移民 / がん / 乳がん / 大腸腺腫 / 症例対照研究 / 断面研究 / 環境要因 / 遺伝的素因 |
Research Abstract |
ブラジルに居住する日系人を対象に、がんの発生要因を解明し、日本人にとって効果的な予防法を開発するために、症例対照研究や断面研究などの手法を用いた疫学研究を行っている。 乳がんの症例対照研究は、平成17年度に対象者の収集が終了したサンパウロ州在住日系人(79例)と非日系人(379例)の2つの症例対照セットに、環境要因による発がんの影響を修飾する遺伝素因の役割についての検討を効率的に行えるように、別の研究費により収集した日本在住日本人(388例)を加えた3セットを用いて解析を行っている。これまでに日系人と非日系人で摂取量が大きく異なるイソフラボンと乳がんリスクの関連を検討し、負の関連を観察している。イソフラボンはエストロゲン受容体βとの親和性が高く、エストロゲン受容体を介して乳がんに予防的に作用することが想定されるため、今年度はエストロゲン受容体遺伝子多型(α : rs9340799、rs1913474、rs2234693、β : rs4986938、rs1256049)との交互作用を検討した。その結果、rs4986938の多型のうちAAおよびAG群では負の関連が見られず、GG群に限って負の関連が見られた。この傾向は、日本人、日系人、非日系人の3集団とも同様であったが、いずれの集団も統計学的に有意な交互作用は検出されなかった。またそのほかの遺伝子多型については明らかな違いは観察されなかった。 サンパウロ州在住日系人を対象に大腸腺腫保有に関連する要因を明らかにすることを目的とした大腸腺腫の断面研究は、2つの医療機関で対象者のリクルートを行っており、平成21年3月末の時点で472人の調査が終了している。また食物摂取頻度調査の妥当性を検討するために、本研究参加者のうち80人を目標に、4日間の食事記録調査を開始し、平成21年3月末の時点で66人の調査が終了した。
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Research Products
(11 results)