2005 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティクスの制御をめざした新しいレトロウイルスベクターの開発
Project/Area Number |
17016015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊庭 英夫 東京大学, 医科学研究所, 教授 (60111449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 太二 東京大学, 医科学研究所, 助手 (60343109)
箕口 滋 東京大学, 医科学研究所, 助手 (60322757)
水谷 壮利 東京大学, 医科学研究所, 助手 (00376617)
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Keywords | レトロウイルス / レンチウイルス / ウイルスベクター / 遺伝子治療 / GFP遺伝子 / Brm遺伝子 / siRNA / miRNA |
Research Abstract |
本研究では、siRNAを恒常的に発現して遺伝子の発現を抑制するレトロウイルスベクター、並びにレンチウイルスベクターを設計、作製しその抑制活性や抑制の維持期間を比較研究することから開始した。その結果、MLVやMSCVを基盤としたレトロウイルスベクターやHIVを基盤としたレンチウイルスベクターのLTRのU3配列中に、siRNAの前駆体として機能するshort hairpin (sh)RNAの発現ユニットを導入した場合には、いずれのベクターにおいても高い抑制活性がみられた。またpolIIIプロモーターの種類として、U6、H2ともに同程度の強い抑制活性を示した。このように開発したベクターに、GFP遺伝子、内在性BRG-1、Brm遺伝子に対するshRNA発現ユニットを搭載させたところ、実際にHela細胞内での標的遺伝子の発現は感染後3日より著しく低下した。さらにGFP遺伝子や内在性Brm遺伝子ではこのような抑制効果は、3ヶ月以上も安定して持続した。Brmの発現を抑制された細胞では、外からMLVを基盤としたベクターを導入してもウイルス遺伝子の発現は長時間持続せず、Brm型SWI/SNF複合体がレトロウイルスの安定発現を維持するのに必須であるという我々のこれまでの観察を忠実に再現した。しかしBRG-1遺伝子の場合、発現抑制による細胞周期の停止のため細胞は長期間は維持されなかった。shRNA発現ベクターにより、GFP遺伝子の発現が恒常的に低下している細胞系を用い、96種の阻害剤キット(資材班から供給を受けた)からGFPの発現回復を誘導する試薬を検索し、これまでに1次検索を終えて5つの候補化合物を単離した。現在これらについて精査中である。 shRNA発現ベクターの開発については、ほぼその目標を達成したので現在天然のmiRNAを発現するウイルスベクター、さらには、特定のmiRNAの生合成系を阻害するウイルスベクターの基本構造を設計し作製を始めている。
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Research Products
(2 results)