2006 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティクスの制御をめざした新しいレトロウイルスベクターの開発
Project/Area Number |
17016015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊庭 英夫 東京大学, 医科学研究所, 教授 (60111449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 太二 東京大学, 医科学研究所, 助手 (60343109)
箕口 滋 東京大学, 医科学研究所, 助手 (60322757)
水谷 壮利 東京大学, 医科学研究所, 助手 (00376617)
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Keywords | レトロウイルス / レンチウイルスベクター / shRNA / RNA干渉 / miRNA / miR-21 / AP-1 / NFI-B |
Research Abstract |
本研究は、エピジェネティカルな遺伝子発現の制御の乱れやRNA干渉系の異常により生ずるヒト癌の制圧をめざして、その異常が生じる分子機構の解明を進めると共に、その成果に基づいた次世代型の遺伝子治療用のレトロウイルスベクターを開発することを目的としている。まず、shRNA発現ユニットを搭載したレトロウイルスベクター(MLV型)とレンチウイルスベクター(HIV型)の改良を進め、標的遺伝子の発現を1/100程度までに抑えかつ、その抑制活性が2ヶ月以上維持される能力をもつベクターを作出した。次に多くのがん細胞で発現が亢進していることが報告されているmiRNAの1つmiR-21に注目してその生合成系を解析した。そのプロモーター解析から、プロモーター上にはAP-1,PU.1,C/EBPα,NFI-Bの結合配列をもつエンハンサー配列が点在し、このうちAP-1,PU.1がTPA(PMA)刺激によるmiR-21遺伝子の発現誘導に必須であることが示された。AP-1とPU.1並びにこれらによって動員されるクロマチン構造変換因子SWI/SNF複合体により、一般に内在性AP-1活性が高いことが知られるヒト癌細胞でmiR-21の発現が上昇されているものと考えられる。また、独自に開発したアルゴリズムによりmiR-21の標的遺伝子の一つとしてNFI-Bを同定した。NFI-BはmiR-21遺伝子の基底レベルのプロモーター活性を抑制していることからmiR-21によるMFI-B遺伝子の発現抑制はmiR-21の安定発現に重要な働きをなしていて、positive-feedback系路が樹立されるものと考えられる。このことは新規に開発したmiRNA発現レトロウイルスによりmiR-21を細胞内で強制発現させて、内在性NFI-Bタンパク質の発現が抑制されたことによっても支持された。
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Research Products
(3 results)