2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17024024
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
貝淵 弘三 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00169377)
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Keywords | 極性 / 神経細胞 / CRMP-2 / キネシン-1 / Sra-1 / WAVE1 / リン酸化 |
Research Abstract |
生体を構成する種々の細胞はその固有の機能を発揮するために極性を獲得する。本研究では、神経細胞の細胞極性を制御する細胞外シグナルやその伝達メカニズムを明らかにすることを目的とする。 我々はcollapsin response mediator protein-2(CRMP-2)が軸索/樹状突起の運命決定を担い、神経細胞極性に重要な役割を果たすことを提唱している。昨年度までに、CRMP-2がチューブリンヘテロ2量体と複合体を形成して微小管重合を促進し、軸索伸長を促進することを明らかにした。最近、CRMP-2はキネシン-1の軽鎖と結合し、軸索輸送を制御することを明らかにした。この結果は、CRMP-2がキネシン-1の"積み荷受容体"として機能することを示唆している。また、CRMP-2がキネシン-1と結合してSra-1/WAVE1を軸索先端に輸送していることが明らかとなった。Sra-1/WAVE1は軸索の成長円錐においてアクチンフィラメントの形成を制御している。これらの結果は、CRMP-2による極性形成が多種多様な分子の輸送を介して遂行されている可能性を示唆している。さらに、我々はCRMP-2が低分子量G蛋白質Rhoの標的蛋白質Rhoキナーゼによってリン酸化されると、チューブリンとの結合能を失うことを明らかにした。この結果は、RhoキナーゼがCRMP-2をリン酸化し、CRMP-2とその結合分子との相互作用を遮断することにより軸索伸長を阻害していることを示唆している。Rhoキナーゼと同様に、GSK-3βによるCRMP-2のリン酸化によってCRMP-2はチューブリンと結合しなくなり、不活性化されることも見出した。以上の結果から、極性形成を制御するCRMP-2は様々な分子と相互作用し、細胞外シグナル依存的にリン酸化され、その活性が制御されることが明らかとなった。
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