2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17024024
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
貝淵 弘三 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 教授 (00169377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有村 奈利子 名古屋大学, 大学院・医学系・研究科, 助教 (20420375)
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Keywords | 脳・神経 / 神経極性 / CRMP-2 / 軸索形成 |
Research Abstract |
脳内において複雑な神経回路綱を形成する神経細胞は、高度に極性化された細胞の一つである。本研究では、神経細胞の極性形成を制御する分子機構を明らかにすることを目的とする。我々は、CRMP-2が神経細胞の軸索伸長や極性形成に重要な役割を果たすことを明らかにしてきた。昨年度までにCRMP-2がチューブリンヘテロ2量体と複合体を形成して微小管重合を促進し、軸索伸長を促進することを見出した。 GSK-3βによりCRMP-2がリン酸化されるとチューブリンとの結合能が低下し、CRMP-2が不活性化されることも見出した。また、CRMP-2がKinesin-1の軽鎖KLCと結合し、チューブリンやSra-1などの積み荷を軸索遠位へ輸送することを見出した。最近我々はCRMP-2がSlp1と結合することを見出した。Slp1はRab27と結合し小胞輸送に関与することが示唆されている。我々は、CRMP-2がSlp1/Rab27と複合体を形成することを見出した。Slp1は神経突起先端の成長円錐で小胞様の局在を示し、神経成長因子の受容体であるTrkBと共局在した。TrkBはSlp1/Rab27と複合体を形成した。Slp1の結合分子を免疫沈降法により探索し、Kinesin-1のサブユニットKIF5とKLCが同定された。Kinesin-1/Slp1の結合はCRMP-2を介していることが示唆された。TrkBの動きをタイムラプス法で確認すると、突起末端に向かう順行性の動きと細胞体へと戻る逆行性の動きが非協調的にみられた。CRMP-2やSlp1、KLCの発現を抑制すると、軸索遠位方向に輸送されるTrkB小胞の数は減少した。さらに活性化型GSK-3βを細胞内に導入すると、Slp1/CRMP-2やCRMP-2/KLCの複合体形成が阻害され、TrkBを含む小胞の輸送が阻害される事も明らかとなった。さらに、CRMP-2をリン酸化する新たなリン酸化キナーゼを同定した。CRMP-2の機能は様々に制御され、小胞輸送などを介して軸索形成に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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