2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17024024
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
貝淵 弘三 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 教授 (00169377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有村 奈利子 玉川大学, 脳科学研究所, COE准教授 (20420375)
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Keywords | 脳・神経 / 神経極性 / CRMP-2 / 軸索形成 |
Research Abstract |
脳内において複雑な神経回路網を形成する神経細胞は、高度に極性化された細胞のひとつである。本研究では、神経細胞の極性形成を制御する分子機構を明らかにすることを目的とする。我々はこれまでにCRMP-2が神経細胞の軸索伸長や極性形成に重要な役割を果たすことを明らかにしてきた。 神経成長因子BDNFの主要な受容体であるTrkBの軸索先端への選択的輸送はBDNFシグナル伝達に重要な役割を果たすが、その制御機構は不明な点が多い。昨年度までに、CRMP-2が小胞輸送に関わる分子であるsip1に結合し、Slp1/Rab27/TrkBと複合体を形成して神経軸索内のTrkBの順行性の輸送を制御していることを見出している。本年度は、Slp1のC2A領域が直接TrkBの細胞内領域と結合すること、Slp1のTrkBへの結合はGTP型Rab27依存的に起こることを見出した。さらに、Slp1,Rab27,CRMP-2,Kinesin-1の機能をRNAi法により抑制すると、軸索におけるBDNF依存的ERK1/2の活性化が阻害されることも示した。 また、アフィニティーカラムクロマトグラフィー法によりSlp1の相互作用分子の同定を試み、500以上の分子を同定した。この中にはPI3-キナーゼのp110αおよびp85の両サブユニットが含まれていた。Slp1がPI3-キナーゼと複合体を形成することを免疫沈降法により確認した。さらに、Slp1はp110αサブユニット中央のaccessory domainに結合することを示した。このことより、Slp1/CRMP-2とPI3-キナーゼシグナルの関連が示唆された。
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