2005 Fiscal Year Annual Research Report
樹状突起のパターン形成:分岐の複雑度や受容野のサイズを調節・維持する分子機構
Project/Area Number |
17024025
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上村 匡 京都大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (80213396)
|
Keywords | 樹状突起 / ショウジョウバエ / 神経回路形成 / 遺伝学 / カドヘリン |
Research Abstract |
7回膜貫通型カドヘリンは、カドヘリンスーパーファミリー内で進化的に保存されたサブファミリーを形成している。ショウジョウバエの7回膜貫通型カドヘリンFlamingo(Fmi)は上皮細胞や神経細胞の形態形成に重要であることが知られている。上皮細胞でのFmiの機能は徐々に明らかにされてきているが、神経細胞の形態形成におけるFmiの分子機能はほとんど明らかにされていない。そこで我々はdendritic arborization (da) neuronsの樹状突起の伸長制御におけるFmiの役割を検討するために、Fmiの構造機能解析を行った。fmi変異胚においてda neuronの樹状突起は過度に背側に伸長してしまうが、この表現型はFmi::EYFPを神経細胞で発現させることでレスキューした。興味深いことに、カドヘリンリピートを欠いているが、タンパク質間相互作用を担うと予想されるモチーフが細胞外にあるdeltaN::EYFPでも、この表現型はレスキューした。このことは、Fmiにはカドヘリンリピート以外の細胞外領域でのヘテロフィリックなタンパク質間相互作用があり、樹状突起の伸長を制御する未同定の分子が存在する可能性を示唆している。そこで我々はこの仮説上のリガンド分子を探索している。 胚期の樹状突起の伸長制御とは別に、幼虫後期では、隣り合う神経細胞の樹状突起間でFmiのホモフィリックな相互作用が存在することが示唆されている。このことは、両体側から背側正中線の方へ伸長してきた樹状突起の末端がお互いを避けあうのに対して、fmi変異体では、末端が過度に重なり合うという観察から推測されている。この系における我々の機能解析の結果をあわせて、Fmiの分子機能の観点から、この異なった胚期と幼虫期における表現型を議論した。
|
Research Products
(1 results)