2006 Fiscal Year Annual Research Report
樹状突起のパターン形成:分岐の複雑度や受容野のサイズを調節・維持する分子機構
Project/Area Number |
17024025
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上村 匡 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (80213396)
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Keywords | 樹上突起 / 神経回路形成 / ショウジョウバエ / カドヘリンスーパーファミリー / 分子遺伝子 |
Research Abstract |
森に生きる樹々の枝ぶりのように、ニューロンが発達させる樹状突起のパターンも多岐に渡る。そして、この形態上の多様性は、ニューロンのタイプ固有の情報処理を支えている。例えば、網膜の神経節細胞やショウジョウバエのclass IV dendritic arborization(da)neuronは受容野を一様に覆う樹状突起を発達させる。これらのニューロンのように、領域全面を覆い、かつ同種細胞間で重複の少ない受容野形成をタイリングと呼ぶ。以前我々は、タイリングするdaneuronが突起切断に際して、"space-filling"パターンを再生することを明らかにした。その他の結果と合わせて、実験データは自己組織化機構が"gspace-filling"型の樹状突起の発生を制御していることを示唆していた。今回我々は、細胞構造を含む、二変数(ActivatorとSuppressor)反応拡散モデルを構築した。細胞内のActivatorは樹状突起の成長を制御する。SupPressorはActivatorから合成され、細胞外空間を拡散して突起問の抑制性の相互作用を担う。シミュレーションの結果、我々のモデルは、樹状パターンを自律的に形成した。加えて、空間制御の二つの特徴である、タイリングと再生を再現した。さらに我々は、数値計算から伸長し分岐するパターン形成の条件を求めた。最後に、我々はシミュレーションで得られたパターンを、"突起の整列度"という統計量で分類できることを見いだした。予備的な解析の結果、この統計量は細胞内部のActivatorの分布を反映していた。従って、この統計量から現実のニューロンの形態を分類すること、さらに細胞の外形から、細胞内部のActivatorの分布を予測することが出来るかもしれない。
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Research Products
(2 results)