2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17054039
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
田中 信之 Nippon Medical School, 大学院・医学研究科, 教授 (80222115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 恵理 (織田 恵理) 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 講師 (90339440)
安部 芳憲 日本医科大学, 老人病研究所, 助教 (00386153)
川内 敬子 日本医科大学, 老人病研究所, 助教 (40434138)
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Keywords | p53 / Hedgehog signal / Mdm2 / NF-κB / IKKα / β / グルコース代謝 / 癌化 / 癌抑制 |
Research Abstract |
我々は、多くの癌で活性が亢進していることが報告されているHedgehog signalが、Mdm2を活性化してp53タンパクの分解を促進させることを見いだした。更に、正常細胞ではras等の癌遺伝子を活性化させると、いわゆるオンコジェニックストレスが細胞にかかり、p53の活性化を介して細胞にアポトーシスや細胞老化を誘導してその細胞を排除することが知られているが、Hedgehog signalを活性化した細胞ではrasによるアポトーシス誘導や増殖抑制が抑制されていることを見いだした。このことから、Hedgehog signalの活性化はp53による癌化の抑制機構を阻害することで、癌化の促進因子であることを見いだした。向時に、癌抑制因子p53が欠損ないし遺伝子変異により機能欠損している細胞では、IKKα及びIKKβのキナーゼ活性が亢進し、NF-KBの恒常的な活性が起きていることを見いだした。更に、p53欠損マウス胎児線維芽細胞(MEF)は癌遺伝子を単独で遺伝子導入するのみでトランスフォームし軟寒天培地でコロニーを形成するようになるが、p53/NF-KB p65欠損細胞やp65siRNAを発現するp53欠損細胞では活性型ras遺伝子によるトランスフォーム能がほとんどみられなかった。この結果から、p53欠損細胞の癌遺伝子によるトランスフォーメイションにはNF-KBが必要であることを明らかにした。更に、この分子機構を解析した結果、glucosetrasnsporterであるGLUT3の発現がNF-KBによって誘導されることを見いだした。これに伴って、活性型rasでトランスフォームしたp53欠損MEFではglucoseのuptake及び消費が亢進し、ATPの産生が亢進していること、これらの現象がp65の発現を抑制すると見られなくなることを明らかにした。更に、活性型rasでトランスフォームしたp53欠損MEFの軟寒天培地でのコロニー形成能がGLUT3の発現を抑制すると低下すること、p65の発現を抑制することで低下したコロニー形成能がGLUT3を遺伝子導入すると回復することを明らかにし、この機構にNF-KBによるGLUT3の発現誘導が関わる事を見いだした。
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