2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17054039
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
田中 信之 Nippon Medical School, 大学院・医学研究科, 教授 (80222115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 芳憲 老人病研究所, 助教 (00386153)
上原 郁野 老人病研究所, 助教 (50434139)
中嶋 亘 老人病研究所, 助教 (40557500)
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Keywords | P53 / NF-κB / グルコース代謝 / 発癌 / 癌抑制 / O-GlcNAc修飾 / IL-6 / Stat3 |
Research Abstract |
癌細胞がグルコースの代謝を主なエネルギー供給源として増殖するが、この代謝の変化によって、ミトコンドリアでの呼吸が無くても十分にエネルギーを得ることが出来、癌細胞の増殖に有利に働いていると考えられている。我々はp53欠損細胞では転写因子NF-κBの転写活性化能が恒常的に高いこと、p53欠損細胞は癌遺伝子rasを単独で発現させてもトランスフォームして腫瘍形成能力を獲得しますが、NF-κBの機能を抑制するとほとんどトランスフォームしなくなることを発見した。更に、p53欠損細胞ではNF-κBによってグルコーストランスポーターGLUT3の発現が上がっており、これによってグルコース代謝が亢進すること、p53欠損細胞がトランスフォームする際にGLUT3の発現上昇が重要であることを発見しまた。この解析の過程で、p53欠損細胞でのグルコース代謝の上昇がNF-κBの活性化を促すというポジティブフィードバック機構が存在することを見いだしている。このポジティブフィードバック機構がNF-κB活性化因子IKKβのセリン733の0-GlcNAc修飾によって制御されていることを見いだした。実際、この部位に変異を導入したIKKβは持続的なグルコース代謝の亢進を続けることができなくなることから、IKKβの0-GlcNAc修飾が癌細胞での持続的なエネルギー産生機構に重要であることが示唆された。我々の研究から、p53がNF-κBの制御を介してグルコース代謝を調節していること、p53の機能が無くなるとグルコース代謝が上昇してエネルギーの産生が増えること、このことが癌化に重要であることが示された。一方、個体の発癌過程でのグルコース代謝の影響を調べるために炎症誘発癌の系を解析する過程で、炎症性サイトカインであるIL-6がStat3を介して解糖系酵素の発現を誘導してグルコース代謝を亢進させることを見いだしており、これを基に実際の発癌でのグルコース代謝の影響についての解析を行っている。
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Research Products
(10 results)