2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17063001
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
常木 晃 筑波大学, 大学院人文社会科学研究科, 教授 (70192648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 裕 東京家政学院大学, 人文学部, 助教授 (60261749)
山田 重郎 筑波大学, 大学院人文社会科学研究科, 助教授 (30323223)
池田 潤 筑波大学, 大学院人文社会科学研究科, 助教授 (60288850)
石田 恵子 (財)古代オリエント博物館, 研究員 (30132757)
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Keywords | 西アジア / 都市化 / 部族社会 / 農耕社会 / 遊牧民 / ビシュリ山系 / メソポタミア / セトゥルメント |
Research Abstract |
本研究は、都市形成に当たって遊牧社会に代表される部族社会が大きな役割を果たしたことを、考古学的、歴史学的、言語学的資料を抽出しながら明らかにしていくことを主目的としている。 考古学分野では、シリアのイドリブ地域およびジャバル・ビシュリ地域で現地調査を行っている。イドリブ地域のテル・エル・ケルク遺跡の発掘調査では、巨大な新石器時代集落の中に認められる住居様式にいくつかの相違が認められること、特に個人や家族を表象していると見られる印章・印影システムの中に2つの大きな人間集団の存在が看取できること、などが明らかとなった。これらの相違が部族社会を表象している可能性は大きい。もしそうであるとするならば、少なくとも新石器時代に部族社会の起源をたどることができることになる。またイドリブ県に所在する現代の村落のうち、農耕民と定住遊牧民の村落を選んでその成立過程について、民族誌的調査を継続している。この調査では、現地で使われているアーイラティ、アッタイファ、タビーレなど、家族や一族、部族を表す表現と、実際の住居配置がどのように関わって集落が形成されてきたかを、いくつかの事例で明らかにすることができた。ジャバル・ビシュリ地域については、2007年2月〜3月にかけて実施された領域全体の第1回現地調査に、本計画研究班から研究代表者と研究協力者の2名が参加している。 歴史学、言語学分野では、主に歴史的な文献史料を基に、都市社会の形成過程にセム系部族社会がどう関わってきたのかについて考察を進めている。特に文献に現れるセム系言語集団の系譜とビシュリ山系との関わりについての基本的事項を網羅的に整理し、セム諸語、セムに関わる古代文献の一覧を作成し、その一部の内容などを明確にすることができた。また、セム祖語として再建される語彙を抽出、検討した結果、セム語の原郷は農耕牧畜が行われていた地域内にあることが明らかにされている。
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