2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17063001
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
常木 晃 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (70192648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 裕 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 准教授 (60261749)
山田 重郎 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (30323223)
池田 潤 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 准教授 (60288850)
石田 恵子 筑波大学, (財)古代オリエント博物館, 研究員 (30132757)
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Keywords | 西アジア / 都市化 / 部族社会 / 農耕社会 / 遊牧民 / ビシュリ山系 / メソポタミア / セトゥルメント |
Research Abstract |
平成20年度に目標とした主な研究計画は、(1)他の研究班と協力してテル・ガーネム・アリ遺跡の発掘調査を実施し、乾燥したビシュリ地域周辺での都市的集落の景観を把握すること、(2)比較研究の立場から、自然環境の異なる地中海地域の北西シリアのイドリブ地域でテル・エル・ケルク遺跡の発掘調査を通じて、先史時代の都市的集落の成立と景観を把握すること、の2点であった。 (1) テル・ガーネム・アリ遺跡の成立から終焉までをテル北側に設けたトレンチの発掘を通じて捉えた。その発掘では、当遺跡が前期青銅器時代II〜III期に集落が作られはじめ、同IV期には集落は終焉を迎えたことが明らかになり、前期青銅器時代のみの居住層を持つ極めて得意な遺跡であることが明らかになった。また、テル上面から把握される住居痕跡を詳細に記録し、前期青銅器時代IVA期と思われる同集落の最終形態の集落プランの概要を把握することができた。これらの成果は、ビシュリ地域でセム系部族社会が顕在化する直前の、おそらく遊牧民を輩出する側の農耕民集落のあり方を具体的に示す資料として、特定領域全体の目標の達成に寄与するものと思われる。 (2) テル・エル・ケルク遺跡の発掘調査では、紀元前7千年紀の都市的集落の墓地を発見するという予想しなかった成果が得られた。これとは別に、テル・エル・ケルク1号丘の発掘調査で、前期青銅器時代から後期青銅器時代にかけての文化層の存在を明らかにすることができた。これらは、ビシュリ地域と同時代の地中海側イドリブ地域で展開していた、紀元前3千年紀〜2千年紀集落の様相を知るための基礎資料を提供するものである。
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