2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17063001
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
常木 晃 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (70192648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 裕 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 准教授 (60261749)
山田 重郎 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (30323223)
池田 潤 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (60288850)
石田 恵子 (財)古代オリエント博物館, 研究部長 (30132757)
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Keywords | 西アジア / 都市化 / 部族社会 / 農耕社会 / 遊牧民 / ビシュリ山系 / メンポタミア / セトゥルメント |
Research Abstract |
本特定領域の最終年度にあたる平成21年度の本計画研究では、昨年度から継続中の(1)~(3)の調査研究項目、およびまとめに当たる(4)の研究項目を実施した。 (1)他の研究班と協力してテル・ガーネム・アリ遺跡の発掘調査を継続し、乾燥したビシュリ地域周辺での都市的集落が、前期青銅器時代I期に出現し、同III期~IVA期にかけて発展していたことを明示した。これにより、ビシュリ地域でセム系部族社会が顕在化する直前の農耕民集落のあり方が具体的に明らかにされ、特定領域全体の目標の達成に直接的に寄与する成果となった。 (2)ガーネム・アリ村の現代墓地を研究対象として民族考古学的研究を実施した。その結果、部族社会とそれぞれの墓地の空間配置に特別な関係が認められ、両者の関係を一般的な法則として捉えることが可能になった。つまり、本特定領域の主対象である青銅器時代前期~中期の墓の空間配置から、部族社会の在り方を考察するための方法論を手に入れたことになる。 (3)テル・エル・ケルク遺跡の発掘調査では、紀元前7千年紀にさかのぼる新石器時代墓地の調査研究を進展させた。これにより、比較的湿潤なイドリブ周辺での都市的集落の成立にあたって、人間集団がどのように展開し、分化していったのかについて考察するための基礎資料を整備することができた。また、ケルク遺跡の近郊に所在する現代村落において、各家屋の展開と部族社会よりも1~2段階小さなアイーラ(拡大家族)レベルの人間集団関係について、両者の関連性が示せるような民族考古学的調査を行っている。 (4)領域全体のシンポジウムおよび研究会などにおいて、以上の主に3つの考古学的な調査研究結果およびセム系部族についての歴史文献学的、言語学的な研究成果を総合させるための努力を重ねた。
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