2005 Fiscal Year Annual Research Report
次世代共役ポリマーにおける巨大非線形光学応答と超高速光スイッチング現象の開拓
Project/Area Number |
17067005
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岸田 英夫 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40311633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 博 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (40201991)
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Keywords | 共役系高分子 / 非線形光学 / CTポリマー |
Research Abstract |
(1)側鎖基の秩序化による主鎖π電子共役系の非線形光学応答の制御 ポリ3-アルキルチオフェンでは、共役鎖に対して側鎖を規則正しく配列することにより、head-to-tail構造の一次元鎖構造が得られる。この系の光学ギャップは、ランダムな側鎖配列を有する系のそれよりも、大幅に(約0.8eV)低エネルギーに位置する。この低エネルギーシフトは、共役長が十分に伸び、理想的な一次元共役電子系が形成されるためと考えられる。本研究では、このような構造秩序化したポリチオフェン薄膜について、第三高調波発生法を用いて、三次非線形感受率(χ^<(3)>)スペクトルを測定した。秩序度を徐々に大きくすると、ある秩序度から光学ギャップはほとんど変化しなくなる。しかし、非線形感受率の値は増大しつづける。これは、比較的広がりの小さい励起子状態に対しては共役鎖の延伸の効果が小さいが、広がった励起状態(大きい量子数をもつ励起子状態に相当)に対してはその効果が大きいことを意味している。すなわち、共役系高分子における主鎖の高秩序化は線形応答を支配する光学ギャップや吸収係数よりも非線形感受率に敏感に反映されることを意味している。また、この結果から非線形光学応答における性能指数(χ^<(3)>/α)の増大が明らかになった。 (2)ドナー-アクセプター型共重合ポリマーによる非線形光学応答の制御 ドナー性分子とアクセプター性分子からなる共重合共役ポリマーにおいて、第三高調波発生法により光学非線形性の評価を行っている。本年度は、アクセプター性の程度を連続的に制御しながら非線形性がどのように変化するかを明らかにした。ドナー分子であるチオフェンと弱いアクセプター性をもつチアゾールあるいは強いアクセプター性をもつキノキサリンとを交互に結合したポリマーについて研究した。その結果、電荷移動の強さ(ドナー性、アクセプター性の差)を大きくすると励起状態間の遷移双極子モーメントが増大することが明らかになった。これは、励起状態における電荷移動励起の程度を連続的に制御できることを意味している。
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