2007 Fiscal Year Annual Research Report
次世代共役ポリマーにおける巨大非線形光学応答と超高速光スイッチング現象の開拓
Project/Area Number |
17067005
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岸田 英夫 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 准教授 (40311633)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 博 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (40201991)
|
Keywords | 共役系高分子 / 非線形光学 / ポリチオフェン |
Research Abstract |
共役ポリマーにおけるポーラロンと非線形光学応答の関係を明らかにすることを目的として、下記の二項目について研究を行った。 1.ポーラロン準位の吸収飽和現象の研究 ポリチオフェンを化学ドープするとポーラロン状態が生成する。Z-scan法を用いてポーラロン吸収帯領域における三次光学非線形感受率を決定した。未ドープ試料との比較から、ポーラロン状態が著しく三次光学非線形感受率を増強させることを明らかにした。また、主鎖構造と非線形性の関係についても明らかにした。得られた結果からポーラロン状態は効率よく吸収飽和を示し、非線形光学応答動作を示す有用な光学遷移であることを明らかにした。 2.外部電場によるポーラロンの生成とその光学応答 ポーラロン準位の生成に電場の与える影響を明らかにすることを目指し研究を行った。種々の電極構造によりポリチオフェンに電場を印加した場合の赤外スペクトルの測定を行った。その結果、アルミニウムと透明電極(ITO)によってポリチオフェン薄膜を挟んだ構造において、電場印加に伴うポーラロン状態の変化を観測した。解析の結果、試料-電極間の界面において電荷移動が起こりポーラロンを生成していることを明らかにした。共役系高分子の薄膜素子における光学応答を考える上で、内部電場の寄与が重要であることを明らかにした。赤外領域のみに限らず、従来から知られる可視光領域におけるシュタルク効果に対しても内部電場が影響を及ぼしていることを明らかにした。
|