2008 Fiscal Year Annual Research Report
次世代共役ポリマーにおける巨大非線形光学応答と超高速光スイッチング現象の開拓
Project/Area Number |
17067005
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岸田 英夫 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 准教授 (40311633)
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Keywords | 共役系高分子 / 非線形光学 / ポリチオフェン |
Research Abstract |
1. 化学ドープしたポリチオフェンのポーラロン準位と非線形光学応答の関係 立体規則性の高いポリ3-ヘキシルチオフェン(P3HT)を化学ドープし、Z-scan法とTHG法で非線形感受率(χ^(3))スペクトルを測定した。得られたχ^(3)スペクトルを離散準位モデルにより解析した。Z-scan、THGの二つの方法により得られたスペクトル形状および共鳴構造が共通のモデルで説明できることを明らかにした。この解析により、ポーラロン準位の関与した遷移双極子モーメントを決定した。 2. 導電性共役高分子PEDOT-PSSの非線形感受率測定 導電性共役高分子poly(3, 4-ethylenedioxythiophene)-poly(styrensulfonate)(PEDOT-PSS)の三次非線形感受率の虚部Imχ^(3)スペクトルをZスキャン法により測定した。2つのポーラロン準位を考慮したモデルに基づいた解析から、Imχ^(3)スペクトルは二光子吸収、光シュタルク効果の成分で表されることがわかった。また、ドープしたP3HTの場合と異なり、吸収飽和成分の寄与はほとんどないことがわかった。このことより、PEDOT-PSSにおいては励起状態の速い緩和の可能性が示唆された。 3. 金属-ポリマー界面におけるポーラロンの生成とその光学応答 P3HTをITOとアルミニウム電極ではさんだサンドウィッチ型の素子について、電場印加による吸収スペクトル変化を調べた。Al-P3HT界面における電荷の移動とそれに付随したポーラロン吸収帯が観測された。電場印加により、空乏層幅が変化し、ポーラロン吸収強度が変化し観測された。この研究により、Al-P3HTの界面において、ポーラロンが形成していることを明らかにした。
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