2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17071009
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
石川 修六 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 助教授 (90184473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 実 東京大学, 物性研究所, 助教授 (60192035)
永井 克彦 広島大学, 総合科学部, 教授 (90034743)
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Keywords | 異方的超流動ヘリウム3 / 超流動相の共存 / 集団励起現象 / 核磁気共鳴法 / 第4音波 / Keldysh形式準古典グリーン関数法 / 表面束縛状態 / 音響インピーダンス |
Research Abstract |
実験グループはエアロジェル中の超流動ヘリウム3の核磁気共鳴法(NMR)と音波による研究で新しい成果を得た。エアロジェルは液体ヘリウム3の超流動転移を抑制する不純物として着目されてきた。転移温度のみならず超流動性の抑制が観測されている。異方的な超流動状態であり2つの超流動相が存在することはわかっていたが、我々のNMRでの実験では、不純物として振る舞うエアロジェルが2つの超流動相の共存を引き起こすことがわかった。相の境界の運動がエアロジェルに邪魔されるためと考えられるが詳細については明かではない。また、集団励起現象であるスピン一様歳差運動領域(HPD)のエアロジェル中での観測に成功した。回転下での測定より様々な緩和の機構が明らかになると期待される。第4音波の実験では初めて、2つの超流動相間の相転移現象をとらえることに成功した。NMRの実験と相補的な観測が進展するものと期待される。 理論グループはエアロジェル中の超流動ヘリウム3の秩序パラメータの集団励起とその超音波吸収への寄与について調べ、実験とよく一致する結果を得た。超流動ヘリウム3のB相の音響インピーダンスの計算を行い、境界近傍の表面束縛状態の存在が音響インピーダンスの温度依存性を支配していることを明らかにし、実験を説明する結果を得た。また、境界を有する超伝導、超流動系の動的性質を明らかにする目的でKeldysh形式の準古典的グリーン関数法の定式化を行った。具体例として超流動ヘリウム3のB相の音響インピーダンスの計算を行い、境界近傍の表面束縛状態の存在が音響インピーダンスの温度依存性を支配していることを明らかにし、実験を説明する結果を得た。
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Research Products
(6 results)