2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17071009
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
石川 修六 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 助教授 (90184473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 実 東京大学, 物性研究所, 助教授 (60192035)
永井 克彦 広島大学, 大学院総合科学研究科, 教授 (90034743)
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Keywords | 超流動ヘリウム3 / エアロジェルの不純物効果 / 超流動相の共存 / 量子渦 / 回転冷凍機 / Keldysh形式準古典的グリーン関数法 / 近接効果 / 核磁気共鳴 |
Research Abstract |
実験グループは昨年度に引き続きエアロジェル中の超流動ヘリウム3の核磁気共鳴法(NMR)と音波による研究で新しい成果を得た。また、超流動ヘリウム3を細い円筒容器内に入れ、回転により作られた1つの量子渦をNMR法で観測することに世界で初めて成功した。エアロジェル中の超流動ヘリウム3では、磁気共鳴イメージ法を応用し、共存する2つの超流動相が容器内で大局的に相分離していることを明らかにした。エアロジェル中では双極子相互作用に起因する回復長が非常に長くなっていることが原因と考えられる。第4音波の実験では、音波エネルギー損失の温度変化が2つの超流動相で全く異なることを発見した。エアロジェル中で粘性平均自由行程が大変短いことが原因と考えられる。NMRと音波の実験から相補的な理解が進展するものと期待される。細い円筒容器内に回転により量子渦を作った実験では、1本の量子渦の運動を直接調べることが出来、渦のダイナミクスおよび磁気回転効果を調べることができると期待される。 理論グループは昨年に引き続き、エアロジェル中の超流動ヘリウム3の秩序パラメータの集団励起とその超音波吸収への寄与について調べた。また、境界を有する超伝導、超流動系の動的性質を明らかにする目的でKeldysh形式の準古典的グリーン関数法の定式化の成果を用い、近接効果による新奇な現象について調べた。"奇周波数ペアリング"の効果を超伝導と正常金属の接合部やエアロジェルがバルク液体に接する界面部について考察した。新たな量子現象が観測される可能性を示した。
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