2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17071009
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
石川 修六 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 准教授 (90184473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 実 東京大学, 物性研究所, 准教授 (60192035)
永井 克彦 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (90034743)
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Keywords | 超流動へリウム3 / エアロジェルの不純物効果 / 量子渦 / 超流動相の共存 / Keldysh形式準古典的グリーン閾数洪 / 近接効果 / 回転冷凍機 / 核磁気共鳴 |
Research Abstract |
実験グループは昨年,エアロジェル中の超流動ヘリウム3が容器内で大局的に相分離して,2つの超流動相が共存していることを明らかにしたが,今年度,光学的測定により,我々のエアロジェルに大局的相分離を引き起こす構造異方性はない結果を得た。エアロジェル中では双極子相互作用に起因する回復長が非常に長くなっていることが原因と考えられる。エアロジェル中の第4音波のエネルギー損失は"摩擦"機構に起因すると思われる結果を得たが,理論グループと議論中である。NMRと音波の実験から相補的な理解が進展するものと期待される。1本の細い円筒容器内の回転する超流動ヘリウム3の研究では1つの量子渦の運動を調べることに成功した。1本の量子渦が回転によって細い円筒容器内へ侵入し,渦先端が移動する様子を初めて観測した。また,新たな安定な渦構造を同定し,渦構造間の転移は温度変化では起こらず回転引導によってのみ起こることを観測した。 理論グループは,p-波超伝導体と考えられている。Sr_2RuO_4を対象に電子ラマン散乱のスペクトルを計算し,秩序パラメータの集団運動が観測可能であることを示すとともに,不純物効果によってスペクトルがどのように変更を受けるかを明らかにした。また,従来に引き続いて超流動3^HeのB相での横波音響インピーダンスの理論計算を行い,振動子表面を超流動4^He膜で覆うことで表面の境界条件で競映反射が増加した場合を考察した。境界条件を変えると表面束縛状態の状態密度が変化し,それが横波音響インピーダンスに明確に反映されていることを明らかにした。この結果は,最近の東工大グループの実験と一致している。
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