2005 Fiscal Year Annual Research Report
技術革新が家庭生活に与えた影響に関する研究-「台所」を中心として-
Project/Area Number |
17074006
|
Research Institution | Bunka Women's University |
Principal Investigator |
内田 青藏 文化女子大学, 造形学部, 教授 (30277686)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤谷 陽悦 日本大学, 生産工学部, 教授 (60120549)
安野 彰 文化女子大学, 造形学部, 講師 (30339494)
|
Keywords | 技術革新 / 家事教科書 / ガス / 電気 |
Research Abstract |
本年度は、研究遂行予定に準じ、主に明治期の文献収集とその分析を行った。具体的には、明治期の家事教科書のうち、高等女学校の家事教科書に注目し、家事関連内容の分析を行った。同様に、建築関連雑誌からガス・電気・水道といった設備関連記事を収集し分析を行った。共に、収集・分析が継続中であり、成果は次年度に報告したい。なお、ガス・電気などのわが国の普及過程に関しては、既往研究や関連企業の社史等をもとにその概要を把握した。 一方、本研究、すなわち、技術と家庭生活のあり方についてその関係性を検討することに主眼をおく研究は、わが国において一般的に認知されているとは言い難い。そこで、こうした分野において先んじている欧米の状況を把握することを目的に、海外調査を行った。具体的には、この分野の研究者として活躍されているマギル大学(モントリオール)のA.アダムス教授に面会し、分野における研究の状況、使用する資料等についてご教示いただいた。また、研究姿勢として、事実の把握よりも、住宅や技術の使用者がそれらを如何に理解し受容したのかを検討する視点が重視されている欧米の現況についてアドバイスを受け、カナダ建築センターで、氏が研究で用いられる原資料を閲覧し研究手法に対する理解を深めた。また、アメリカの国立議会図書館で、関連する博士論文の情報を収集した結果、住宅のあり方を、衛生や家事労働といった視点から、技術や社会的な要請と関係づけて捉えていると思われる論稿を数多く認めることができた。また、アメリカ歴史博物館では、ある一般住宅が科学技術をはじめとする社会状況と関連して変容するという内容を具体的な資料を示しながら解説している常設展示を見学し、上記のような研究成果の一端が展示に反映され、住宅に対するそうした視点からの理解が進んでいることを認識した。最後に、科学技術が影響を与えだした当時の住宅の具体例として、医師が設計したというオクタゴン(ワシントンD.C.)ならびにジェファーソン設計の自邸モンティセロ(シャーロッツビル)を見学し、見聞を深めた。こうした経験を次年度以降の研究に反映させたいと考える。
|