2006 Fiscal Year Annual Research Report
技術革新が家庭生活に与えた影響に関する研究-「台所」を中心として-
Project/Area Number |
17074006
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
内田 青藏 埼玉大学, 教育学部, 教授 (30277686)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤谷 陽悦 日本大学, 生産工学部, 教授 (60120549)
安野 彰 文化女子大学, 造形学部, 専任講師 (30339494)
|
Keywords | 技術革新 / 住まい / 台所 / 家事教科書 / シンク / 家電化 / サンウエーブ / 衛生思想 |
Research Abstract |
本研究は、台所を中心とした家庭生活の変化を促した様々な技術革新を取り上げ、その変化の様相を検討しようとするものである。台所を中心に分析するにあたって(1)台所の流し台の変遷(2)台所の家電化について(3)水廻りとしての台所・浴室・便所の関係性と間取りの変化(4)技術革新を促した背景の一つとしての衛生思想の普及過程について、の4つのテーマを設定した。 すなわち、テーマ(1)に関しては、明治以降から戦後に出版された家事教科書から「台所」を取り上げ、具体的な流し台としてガス台.コンロ台・米櫃・冷凍庫などとの複合化の動向を含め、どのような変遷過程を経てきたのかの編年表を作成している。こうした台所の流し台の動向をまとめる一方で、流し台の技術革新の具体的実例として戦後の株式会社サンウェーブの開発したステンレスのシンクに見られる技術革新について、資料収集とその分析を行った。その成果の一部が「生活領域における日本の技術革新一サンウェーブが開発した流し台(シンク)の技術的変遷(1)」(『第2回国際シンポジウム日本の技術革新-経験蓄積と知識基盤化-研究論文発表会論文集』)である。テーマ(3)に関しては、現在、資料収集中である。なお、昭和初期の都心部における住宅内の諸設備の普及実態に関しては「昭和9(1934)当時の東京周辺の独立住宅の附帯設備の実態状況について」(『第2回国際シンポジウム日本の技術革新-経験蓄積と知識基盤化-研究論文発表会論文集』)として一部報告した。ここでは、昭和初期における技術革新の傾向として、小型化などの性能向上の過程が窺えること、および、小型化による住宅内の設置の過程で住宅の平面計画や構造計画に影響を与えていった様子を明らかにした。また、テーマ(4)に関しても、現在、資料収集中であり、その成果の一部を「明治期の『大日本私立衛生会雑誌』にみる住宅の改善に関する言説」(『第2回国際シンポジウム日本の技術革新-経験蓄積と知識基盤化-研究論文発表会論文集』)として報告した。なお、技術革新と生活に関する先行研究の蓄積のあるイギリスを訪れ、研究状況の視察を行った。
|