2006 Fiscal Year Annual Research Report
Ca ̄2+ ̄チャネル分子複合体の生体膜集積機構とその生理的意義
Project/Area Number |
17081011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 泰生 京都大学, 工学研究科, 教授 (80212265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 豊士 名古屋大学, 医学研究科, 教授 (50115929)
若森 実 京都大学, 工学研究科, 助教授 (50222401)
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Keywords | カルシウムチャネル / 分子複合体 / 膜分子集積 / シグナル伝達 / バイオセンサー |
Research Abstract |
TRPCチャネルはフォスフォリパーゼCの活性化とイノシトール3燐酸産生に強く連関している。今回、TRPC5は一酸化窒素(NO)や活性酸素を感知、活性化開口し、Ca2+を流入させることを示した。また、TRPC5は、血管内皮細胞の形質膜陥入構造カベオラにおいて、内皮型の一酸化窒素産生酵素eNOSと機能的複合体を形成し、内皮細胞におけるNO産生のpositive feedback loopを制御することがわかった。一方、神経系前シナプスに形成される電位依存性Ca2+チャネルを含む複合体の分子・機能解析も行った。今回、私たちは、電位依存性Ca2+チャネルの近傍にシナプス小胞をつなぎとめる役割を、アクティヴゾーン構成タンパク質RIM1とCa2+チャネルの・サブユニットとの会合体が担うことを明らかにした。培養神経細胞において、RIMIとβサブユニットとの会合は、小胞を細胞表層膜に集積させ、膜電位の脱分極により惹起されるアセチルコリンやグルタミン酸等の神経伝達物質の分泌を促進させた。RIM1とβサブユニットの会合を阻害する組み換え変異体を用いると、そのような会合の効果は失われた。RIM1はシナプス小胞タンパク質(Rab3)に結合することから、アクティヴゾーンにおける小胞とCa2+チャネルとの集積を制御する分子メカニズムは、本会合が担っていると考えられる。また、線維芽細胞に異所性に組み換え発現させたCa2+チャネルは、活性化開口すると、Ca2+流入を起こさない不活性化状態へと移行してしまうが、RIM1がβサブユニットに結合すると、不活性状態への移行が阻害され、Ca2+チャネルを介したCa2+流入を持続させることがわかった。この性質は、神経標本において見られるCa2+チャネルのそれをよく再現している。即ち、アクティヴゾーンにおいては、Ca2+チャネルがRIM1と結合し、活動電位により惹起されるCa2+流入が持続され、Ca2+依存的にシナプス可塑性等が調節されると考えられる。
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