2005 Fiscal Year Annual Research Report
内因性カンナビノイドを介する逆行性シナプス伝達のメカニズムとその生理的意義の解明
Project/Area Number |
17100004
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
狩野 方伸 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40185963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崎村 建司 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40162325)
少作 隆子 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (60179025)
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Keywords | 神経科学 / シグナル伝達 / シナプス / 生理学 / 脳・神経 / 逆行性シグナル / シナプス伝達調整 / カンナビノイド |
Research Abstract |
脳内に存在するマリファナ類似物質(内因性カンナビノイド)はシナプス後ニューロンから放出され、シナプス前終末のカンナビノイドCB1受容体に作用して、神経伝達物質放出の減少を引き起こす。本研究では、内因性カンナビノイドのシナプス伝達調節の機構とその脳機能における役割の解明を目指している。 内因性カンナビノイドの合成・放出は、(1)脱分極による細胞内Ca^<2+>濃度上昇、(2)I型代謝型グルタミン酸受容体(I-mGluR)等のG_<q/11>結合型受容体の活性化、(3)細胞内Ca^<2+>濃度上昇とG_<q/11>結合型受容体活性化の相乗作用、の3つにより引き起こされる。本年度の研究から、内因性カンナビノイドの産生と伝達物質抑制の機構について、以下の点が明らかになった。 1)G_<q/11>結合型受容体活性化による内因性カンナビノイド放出に、小脳ではフォスフォリパーゼCβ4(PLCβ4)が必須であるが、脱分極後の細胞内Ca^<2+>濃度上昇による内因性カンナビノイド放出にはPLCβ4は関与していなかった。 2)細胞内Ca^<2+>濃度上昇とG_<q/11>結合型受容体活性化の相乗効果には、小脳ではPLCβ4が必須であった。また、小脳の平行線維シナプスの活動によって、細胞内Ca^<2+>濃度上昇とI-mGluR活性化の相乗効果を介する内因性カンナビノイド放出が起こった。 3)微小シナプス後電流は、シナプス小胞がランダムにシナプス前膜に融合して伝達物質が放出されることにより生ずるが、シナプス前終末内のCa^<2+>に関係なく発生する成分と、終末内のCa^<2+>によってその発生頻度が増加する成分がある。小脳プルキンエ細胞を用いて、CB1の活性化が、Ca^<2+>に関係なく発生する成分には影響せず、Ca^<2+>による増強成分のみを選択的に抑制することを明らかにした。
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Research Products
(10 results)