2006 Fiscal Year Annual Research Report
内因性カンナビノイドを介する逆行性シナプス伝達のメカニズムとその生理的意義の解明
Project/Area Number |
17100004
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
狩野 方伸 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40185963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崎村 建司 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40162325)
少作 隆子 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (60179025)
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Keywords | 神経科学 / シグナル伝達 / シナプス / 生理学 / 脳・神経 / 逆行性シグナル / シナプス伝達調節 / カンナビノイド |
Research Abstract |
脳内に存在するマリファナ類似物質(内因性カンナビノイド)はシナプス後ニューロンから放出され、シナプス前終末のカンナビノイドCB1受容体に作用して、神経伝達物質放出の減少を引き起こす。本研究では、内因性カンナビノイドのシナプス伝達調節の機構とその脳機能における役割の解明を目指している。本年度の研究から、以下の点が明らかになった。 (1)主要な内因性カンナビノイドである2-arachidonoylglycerol(2-AG)はdiacylglycerol lipase(DGL)によって合成されるが、免疫蛍光法と免疫電顕法により、小脳と海馬のシナプスにおけるDGLとCB1受容体の詳細な局在を明らかにした。 (2)CB1受容体ノックアウトマウス及び、CB1受容体の阻害剤を投与されたマウスにおいて、小脳依存性の運動学習である瞬目反射の条件付けが著しく障害されていた。この結果から内因性カンナビノイド系が小脳の運動学習に重要であることが明らかとなった。 (3)マウスの線条体のfast-spiking interneuronからmedium spiny neuronへの抑制性シナプスにおいて、内因性カンナビノイドによる逆行性抑制が起こることを明らかにした。また、コリン作動性の介在ニューロンの自発発火によって供給されるアセチルコリンにより、medium spiny neuronから内因性カンナビノイドが持続的に放出されて、抑制性シナプス伝達を抑えていることが明らかになった。 (4)培養海馬ニューロンにおいて、2-AGの分解酵素であるmonoacylglycerol lipaseによって脳内の2-AG濃度が定常的に低い濃度に保たれており、またニューロンの活動によって生じた2-AGを速やかに分解して、逆行性のシナプス伝達抑制を終了させること明らかになった。
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Research Products
(9 results)