2007 Fiscal Year Annual Research Report
内因性カンナビノイドを介する逆行性シナプス伝達のメカニズムとその生理的意義の解明
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17100004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
狩野 方伸 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 教授 (40185963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崎村 建司 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40162325)
少作 隆子 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60179025)
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Keywords | 神経科学 / シグナル伝達 / シナプス / 生理学 / 脳・神経 |
Research Abstract |
脳内に存在するマリファナ類似物質(内因性カンナビノイド)はシナプス後ニューロンから放出され,シナプス前終末のカンナビノイドCB1受容体に作用して,神経伝達物質放出の減少を引き起こす。本研究では,内因性カンナビノイドのシナプス伝達調節の機構とその脳機能における役割の解明を目指している。平成19年度の研究から,以下の点が明らかになった。 1.主要な内因性カンナビノイドである2-arachidonovlglvcerol(2-AG)はmonoacvlglvcerollipase(MGL)によってアラキドン酸とグリセロールに分解ざれて活性を失う。免疫蛍光法ーと免疫電顕法により,小脳のシナプスにおけるMGLの詳細な局在を調べた。その結果,MGLは平行線維シナプス終末に強く発現しているが,登上線維シナプス終末と抑制性シナプス終末の発現は弱く,シナプス後部の発現は極めて弱いことが明らかになった。 2.小脳スライスのプルキンエ細胞からホールセル記録を行い,内因性カンナビノイドによる逆行性シナプス伝達抑制に対するMGL阻害剤の効果を調べた。1.で明らかにしたMGLの局在に一致して,平行線維シナプスでは効果が強く,登上線維シナプスや抑制性シナプスでは効果が弱いことが明らかになった。 3.培養海馬標本における2細胞同時ホールセル記録法を用いて,2-AG合成経路の様々な阻害剤の効果を調べ,脱分極による細胞内Ca^2+濃度上昇に引き続いて起こる逆行性シナプス抑制を仲介するのが2-AGであることを明らかにした。 4.培養海馬標本における2細胞同時ホールセル記録法を用いて,NMDA型グルタミン酸受容体チャネルを通って流入するCa∧2+によって細胞内Ca∧2+濃度上昇が起こり,2-AGが放出されて逆行性シナプス抑制が起こることを明らかにした。
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Research Products
(30 results)