2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17100007
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
高尾 尊身 鹿児島大学, フロンティアサイエンス研究推進センター, 教授 (80171411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 征郎 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (20082282)
松山 隆美 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30145479)
馬場 昌範 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (70181039)
吉田 光敏 鹿児島大学, 農学部, 教授 (00174954)
佐藤 正宏 鹿児島大学, フロンティアサイエンス研究推進センター, 教授 (30287099)
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Keywords | 異種移植 / クラウン系ミニブタ / クローンミニブタ / α-1,3-ガラクトース転移酵素 / 内在性レトロウイルス(PERV) / gene targeting / 樹状細胞 / HMGB-1 |
Research Abstract |
1)超音波法で活性化したクラウン系ミニブタ(以下ミニブタ)体細胞由来クローン胚を、今回はミニブタ雌へ移植しクローンミニブタ産仔を得た。産仔と胎児線維芽細胞の遺伝子型はマイクロサテライトDNAマーカー12種の解析により全てが一致した。2年続けてクローンミニブタ作出を実証しクローン技術の確立を確認した。 2)Nucleofector systemを用いて遺伝子導入が比較的難しいとされるミニブタ初代培養細胞への新しい効率的遺伝子導入法を開発した。 3)ミニブタ初代培養細胞を用いてα-1,3-ガラクトース転移酵素(αGalT)を不活性化した細胞を作成するため、αGalT gene targeting用コンストラクト設計、αGalTのクローニング、targeting用プラスミドの構築、ミニブタ体細胞への遺伝子導入を終了し、核移植用のドナー細胞選択とクローン化を行っている。 4)クラウン系ミニブタ由来の細胞で内在性レトロウイルス(RERV)のDNAを同定するとともに,そこからのmRNAおよび,細胞培養上清中にウイルス粒子の産生(RT活性)を確認した。 5)クラウン系ミニブタ由来のPERV RTのアミノ酸配列は,実験室標準細胞株PK-15細胞より産生されるPERVのRTとほぼ一致しており,特に活性中心のアミノ酸配列は良く保存されていた。 6)抗エイズ薬AZTの活性型であるAZT-TPは,PERV RTに対してもHIV-1 RTと同等かそれ以上の阻害効果を有していたが,d4Tの活性型であるd4T-TPのPERV RTに対する作用はHIV-1 RTに対する作用よりも劣っていた。 7)ラットを用いての同種移植実験において、移植後6日目および12日目の浸潤細胞の核内からHigh mobility group box-1(HMGB-1)の放出が確認された。 8)in vitro実験で、ブタ腎上皮細胞とヒト細胞HL60の共培養下にてHMGB-1の放出が見られた。また、ブタ血管内皮細胞とヒト白血球細胞との共培養下にてもHMGB-1の放出が見られた。 9)HMGB-1の放出は細胞の接着により、HMGB-1のup-regulationとreleaseのtriggerはヒト白血球の細胞膜上にあると示唆された。すなわち、異種移植にHMGB-1が深く関与していることが明らかとなった。 10)異種移植拒絶反応のin vitroモデルとしてブタ内皮細胞を傷害するヒトT細胞(CD4,CD8)、NK細胞などの測定系の確立およびヒト細胞傷害性CD8細胞の機能を制御するヒト制御性樹状細胞、制御性T細胞の作成を進めている。 11)サルの実験使用許可および施設の対応など課題が多い中で異種移植動物実験システムの立ち上げを推進中である。
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