2006 Fiscal Year Annual Research Report
環境汚染物質による体内時計の破壊:ヘム-NO-蛋白合成-時計遺伝子のクロストーク
Project/Area Number |
17101002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 透 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (40118956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 敦成 東北大学, 多元物質科学研究所, 研究支援者 (20431471)
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Keywords | ヘム制御酵素・蛋白質 / ガスセンサー / 蛋白質合成 / 体内時計 / DNA結合 / 水銀イオン / NOガス / PASドメイン |
Research Abstract |
HRIヘム制御キナーゼ(HRI)の反応阻害反応を様々な金属イオン、ヘム合成中間体、ヘム分解中間体などについて調べた。その結果、ヘム分解物、及び多くの金属イオンはキナーゼ反応を阻害するという結果が得られた。特に、水銀イオンは阻害定数が0.6mMという強力な阻害剤であった。さらに、NOガスは水銀により阻害された活性を回復した。このNOガスによる反応回復は水銀イオンの場合にのみ観測された。このことはNOガスがHRI分子表面にあるシステインと-SNOが生成されたためだと推定され、これはヘムの吸収スペクトルの変化からも確かめられた。N末端が欠損したHRIでは、このNOガスによる阻害回復は観察されなかった。故に、NOによる活性回復にはN末端が関わっている可能性が示唆された。COガスでは活性などへの影響は観測されなかった。 NPAS2:bHLH-PAS-A, PAS-A, PAS-Bだけを単離したNPAS2の分光学的解析を行った。その結果、DNA結合ドメインであるbHLHドメインが結合したbHLH-PAs-Aにはヘムが安定に結合すること、軸配位子がHisであること、ヘムの解離速度はヘムセンサー酵素のHRIと同程度であること、及び、NO-Fe(II)錯体は5配位であることなどが、スペクトルなどから明らかになった。水晶ミクロバランス法により、ヘム結合型NPAS2はそれ単独でDNAに結合することが明らかになった。この結果は、NPAS2はBMAL1とヘテロに量体を形成しないとDNAに結合しないという報告とは異なる、新しい知見である。 Ec DOS:ヘム結合型ガスセンサーのモデルと成りうる大腸菌由来ボスホジエステラーゼのガス結合、及び自動酸化速度にはヘム周辺のアミノ酸が重要な働きをすることが示唆された。
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Research Products
(6 results)