2009 Fiscal Year Annual Research Report
銀河系に於ける星間ガスのイオン化状態の大域的構造と星-ガス循環過程の定量的研究
Project/Area Number |
17104002
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉井 譲 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (00158388)
|
Keywords | 星間ガス / 銀河系 / 小望遠鏡 / 赤外線 / 水素輝線 |
Research Abstract |
2009年5月より、1m望遠鏡の光学系のハルトマン試験と架台制御のポインティング解析の観測を可視CCDカメラを用いて進めた。ハルトマン定数は0.19秒角、指向制度は1.8秒角RMS、トラッキング性能は10分間で0.3秒角以内、と観測に必要な当初目標の仕様を達成することができた。 近赤外線カメラANIRは4月にチリに輸送し、5月より現地での実験室試験と調整を経て、6月9日にPaα輝線の観測に成功した。これは、地上から初の、Paα輝線による銀河系内の撮像観測である。 2回目の観測ランは9月より2ヶ月半にわたって行い、ANIRによる銀河面サーベイ観測の本格実施に向けて、銀河面一部領域での予備サーベイ観測をすすめた。これにより、チャナントール山頂では安定してPaα波長域での観測を行うことが可能であることが明らかになった。また、銀河系内のガス・ダストの循環を明らかにする上で必要な中間赤外カメラのファーストライトにも成功した。これは、30ミクロン帯で地上から初の観測である。ただし、山頂での観測作業は予想よりも厳しく、一晩8時間観測を3晩行って一晩休憩するというスケジュールが限界であった。これにより、安全かつ効率的な観測を行うためには遠隔観測システムが不可欠であることが明らかになり、その検討を進め、実現のめどを得た。 これら結果は2回にわたる記者発表でマスコミに広く取り上げられただけでなく、さらには宙博(そらはく)などのイベントやプラネタリウム番組として広く一般への教育普及活動を行っている。また、科学的成果について天文学会での発表を行うとともに、査読論文の準備を進めている。 これら成果により、2010年度以降本格的に銀河面サーベイを行うことが可能となった。
|
Research Products
(11 results)