2006 Fiscal Year Annual Research Report
強誘電性長距離秩序形成と競合するコヒーレント量子ゆらぎダイナミクスの研究
Project/Area Number |
17104004
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
八木 駿郎 北海道大学, 名誉教授 (30002132)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武貞 正樹 北海道大学, 大学院・理学研究院, 講師 (30311434)
伊藤 満 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (30151541)
徳永 正晴 , 名誉教授 (60001682)
小野寺 彰 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (40142682)
|
Keywords | 量子常誘電体 / 量子強誘電体 / 量子ゆらぎ / ソフトモード / 広帯域分光法 / ミリケルビン領域 / フォノン / ブルリアン散乱 |
Research Abstract |
今年度は2年目にあたり、その間に得られた研究成果の主なものは以下の通りである。 (1)広帯域-高分解能分光スペクトル観測装置を構築した。 量子ゆらぎとフォノンの結合の効果を光散乱スペクトル形状の異常として検出するためには、広い周波数帯域に渡って高分解能を維持できる広帯域-高分解能分光スペクトル観測装置が不可欠な重要性を持つ。今年度では、その装置を構築することが主要な目的であるので、スチールハニカム光学定盤((株)明立精機製)上に、光源としてDPSS半導体単一周波数単一モードレーザー(DPSS500-TYS型、Diabolo社製)を、分光器として6回透過型タンデム型ファブリーペロー干渉計分光計(JRS社製)を設置し、その長期安定性を保っために、ダイナミックバイブレーションアイソレーションシステム(JRS社製)をコントロールユニット(JRS社製)と共に組み合わせて応用した。試料からの散乱光は分光計で分光されたあとに、フォトンカウンターで検出され、マルチャンネルアナライザーソフトGOHSTで蓄積されてS/N比の改善がなされた。これらのシステムを光学的に調整するために、シングルモードグリーンレーザーが用いられ、迅速な最適光学系の組み上げに貢献した。このようにして、前年度で購入された部品を用いて本研究計画の重要な部分である広帯域-高分解能分光スペクトル観測装置が完成し、その過程で安定性のチェックも行われた。更に時間分解分光法を相補的に組み合わせるために、既存のYAGパルスレーザーを基に、ISBSシステムが、同一の実験定盤上に構築されて組み合わされた。 (2)極低温光学クライオスタットの設計と製作 量子ゆらぎダイナミクスのを観測するために、(1)の広帯域-高分解能分光スペクトル観測装置に加えて、1K以下の極低温に試料を長時間保持することが出来る光学クライオスタットが必要不可欠であり、それを設計し製作した。そのため、極低温クライオスタット製作材料からHelioxAC-V3He冷凍機ユニッHe3AC-Comp型(オクスフォードインスツルメンツ社製)を中心としてクライオスタットを構築し、その試料温度を温度コントローラHe3AC-ITC型を用いて制御した。完成した極低温光学クライオスタットの現在の最低到達温度は290mKであり、充分研究目的に対応している。 今年度において、上記(1)と(2)の成果を合わせて本研究目的を達成するための実験装置の基本的な構成が完成した。
|
Research Products
(8 results)