2008 Fiscal Year Annual Research Report
流域圏の土砂・栄養塩動態の解明および統合管理技術の開発-亜熱帯流域を対象として-
Project/Area Number |
17106006
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
池田 駿介 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 教授 (60016590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 忠晴 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (50159696)
岡本 峰雄 東京海洋大学, 海洋科学部, 准教授 (70345403)
酒井 一人 琉球大学, 農学部, 教授 (10253949)
赤松 良久 琉球大学, 工学部, 准教授 (30448584)
大澤 和敏 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (30376941)
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Keywords | 水工水理学 / 水圏現象 / 水質汚濁防止・浄化 / 自然現象観測・予測 / 環境調和型農林水産 |
Research Abstract |
名蔵川流域を対象として安定同位体に着目した現地観測を行った。その結果、流域末端を通過する栄養塩フラックスの内、少なくとも30%が地下水を通じて供給された成分であることが明らかになった。また、出水時に流出する懸濁物質の内、70%が森林由来であり、30%が畑地由来であるとの結果を得た。 名蔵湾と石西礁湖でサンゴ着床具とマリンブロックを用いたサンゴ再生産力評価実験を継続した。その結果、名蔵湾では繁茂する海藻類との競合で1才まで生残するのは難しいことが明らかになった。つまり名蔵湾のサンゴの生育を阻害している原因は富栄養化であった。また、名蔵湾内の海草中の炭素・窒素安定同位体比の計測を行った。その結果、岸では陸域からの栄養塩負荷の影響を受けて高い値を取り、岸からの距離が遠くなるにつれて低くなることが明らかになった。このことから、地下浸透流を通した湾内への栄養塩の負荷についても検討する必要があることが示唆された。 水・土砂・栄養塩動態モデルであるSWATを適用した結果、観測値に対する適合性は概ね良好であることがわかった。さらに、減肥対策の数値シミュレーションを実施した結果、溶存性窒素の大部分は深い帯水層へ浸透しており、流域末端における河川水への影響は小さいことがわかった。このことから、減肥対策は地下水汚染の抑制や海域での湧き出しの抑制に寄与すると考えられる。 西表島後良川流域において水・土砂・栄養塩動体に関する現地観測を実施した。その結果、森林流域である後良川流域は降雨に伴う土砂流出量が比較的多い場合であっても、栄養塩流出量は農地・牧畜地を含む名蔵川流域よりはるかに少ないことがわかった。さらに、同様の問題を抱えているパラオ共和国Ngerikiil川流域およびAirai湾における水・土砂.栄養塩動体に関する現地調査を実施した。その結果、流域内での開発工事に伴う過剰な土砂流出が、沿岸域のサンゴに負の影響を及ぼしていることがわかった。
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Research Products
(17 results)