2007 Fiscal Year Annual Research Report
電子密度分布に基づく水素貯蔵材料の統一的な理解と量子材料設計への新しい展開
Project/Area Number |
17106008
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森永 正彦 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 教授 (50126950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 純教 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (10144213)
湯川 宏 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50293676)
関根 理香 静岡大学, 理学部, 准教授 (50211321)
折茂 慎一 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (40284129)
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Keywords | 水素貯蔵材料 / 量子材料設計 / 電子密度分布 / 分子軌道法 / 電子状態 |
Research Abstract |
本研究の目的は、水素貯蔵材料を電子レベルから基礎的に理解し、量子材料設計の新しい展開を図ることにある。 本年度は、水素化物の電子状態計算とラマン分光スペクトルの測定などを行い、以下の研究成果を得た。 1.原子化エネルギーとそれに基づく脱水素化触媒反応の理解 多様な化学結合を持つ金属系、無機系、有機系水素化物の化学結合を、「エネルギーの尺度」で定量的に表すことに成功した。すなわち、電子系の全エネルギーを構成原子へ分割し、原子化エネルギーを決定した。化学結合様式が異なるすべての水素化物が、1枚の「原子化エネルギー図」の中で整理できることを明らかにした。 この解析により、全エネルギー計算のみでは分からなかった「構成原子の顔」が見えてくるので、材料設計に利用できる。例えば、MgH_2の脱水素化反応を促進するために、各種金属酸化物触媒(例:Nb_2O_5)が調べられている。それら金属酸化物中の水素に対する触媒活性サイトは、高い原子化エネルギーをもつ酸化物イオンである。MgH_2の脱水素化反応速度は、金属酸化物の化学式中の酸化物イオンの数とその原子化エネルギーの積で表すことができた。このような触媒反応の解析は、いろいろな化学合成分野に適用できるので、その応用範囲はきわめて広い。 2.水素化物のラマン分光スペクトルの測定 アラネート系錯体水素化物MAIH_4 (M=Li, Na, K)の脱水素化過程におけるラマン分光スペクトルのその場測定と、平面波擬ポテンシャル法を用いたAl-H振動モードの解析を行った。錯イオン中のAl-Hイオン間距離が短くなるほど、Al-H基準振動は高くなる傾向がある。NaAlH_4がNa_3AlH_6に分解する過程で、溶融状態の構造とよく似た、新しい中間相が存在する。また、KAlH_4がK_3AlH_6に分解する過程でも、新しい中間相が存在することが分かった。このほか、Ca(AlH_4)_2のラマン分光スペクトルも測定し、そのデータベース化を図っている。
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Research Products
(17 results)