2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17109002
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
稲垣 冬彦 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (70011757)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小椋 賢治 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (50270682)
堀内 正隆 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (90322825)
鈴木 展生 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (40396297)
|
Keywords | 好中球活性酸素発生系 / 細胞質因子 / p40 / 活性制御 / PXドメイン / ファゴソーム / PI(3)P |
Research Abstract |
好中球は急性炎症等の場で細菌等の病原微生物の貪食を主に行う。貪食された病原微生物はファゴソーム内で好中球NADPHオキシダーゼの発生する活性酸素により殺菌される。活性酸素は好中球が微生物を殺菌する上で重要であるが、一方で自己の組織にも重大な損傷を与えるため、生体内の好中球NADPHオキシダーゼの活性化は厳密に制御されている必要がある。本研究は好中球NADPH酸化酵素を取り上げ、活性酸素発生の制御機構を明らかにすることを目的としている。NADPHオキシダーゼの酵素本体は膜タンパク質cytochrome b_558(gp91とp22のヘテロダイマー)であるが、自身のみでは活性酸素を発生することができない。活性化にはこの他に細胞質因子複合体(p40,p47,p67)および低分子量GTP結合タンパク質Racがcytochrome b_558と複合体を形成することが必要である。本研究では細胞質p40の構造をX線結晶構造解析により明らかにした。p40はPXドメインを介してPI(3)Pに結合することにより細胞質因子とcytchrome b_558との相互作用を可能とし、活性酸素発生を40倍程度亢進することが知られている。構造解析の結果、p40のPXドメインはPB1ドメインとの相互作用によりマスクされており、PI(3)Pと結合できない状態にあること、そのため、ファゴソームとの結合は阻害されていることを明らかにした。活性化に伴い、リン酸化修飾がおき、オープン構造をとること、その結果ファゴソームとの結合が起きることを示した。本研究はPI(3)Pとp40の結合がファゴソームの成熟を契機として起きることを示しており、活性酸素の発生が厳密に制御されていることを示している。本研究はインタクトなタンパク質を対象とした構造解析であり、インタクト構造を解析することにより、タンパク質の活性制御機構を初めて明らかにした。
|