2005 Fiscal Year Annual Research Report
転写を阻害するDNA損傷の細胞応答機能とその異常疾患の分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
17109006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 亀代次 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 教授 (80144450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西條 将文 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 助教授 (90221986)
倉岡 功 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 助手 (60335396)
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Keywords | コケイン症候群 / UV^s症候群 / RNAポリメラーゼII / ユビキチンリガーゼ / 酸化的DNA損傷 / 微小核融合 / DNA修復 / 転写と共役した修復 |
Research Abstract |
(1)CSA、DDB1、COP9signalosome、Roc1、Cullin4AからなるCSA蛋白質複合体がユビキチン・リガーゼ(E3)活性を持つことを見つけたが、CSA複合体がユビキチン化するターゲットを同定し、TCR機構の制御における役割を解析した。また、DNA損傷によってCSA蛋白質が核マトリクスに移行する分子機構解明のため、種々の変異CSA蛋白質を発現する細胞を作成し、複合体形成能やE3活性の有無、核マトリクスへの移行の有無を調べた。(2)CSA複合体E3の構成因子であるDDB1遺伝子の個体レベルでの機能を解析するため、DDB1遺伝子のコンデイショナルターゲテイングマウスの作成を進めた。(3)XPA、CSA、CSB、RNAポリメラーゼIIと細胞内で相互作用し、転写、スプライシング、TCRに関与する多機能XAB2蛋白質を蛋白質複合体として精製し、その転写能、スプライシング能、DNA修復能を明らかにした。(4)種々の酸化的損傷を1ケ所に持つDNA templateを用いたin vitro転写系を構築し、RNAポリメラーゼIIが損傷部位でリボヌクレオチドを1-2個取り込んだ後に転写を停止し、一部は損傷をバイパスしmRNAに変異が導入されることを明らかにした。(5)UV^s症候群はTCRに異常を持つ遺伝疾患であるが、CSと異なり神経症状や早期老化徴候は示さない。微小核融合法によりその原因遺伝子のクローニングを行い、原因遺伝子座位が10番染色体にあること、それがCSB遺伝子のnull mutationが原因であることを明らかにした。逆に、CS症候を示すCS-B患者では寧ろ何らかの変異CSB蛋白質が生成されており、これらの結果から、変異CSB蛋白質が、RNAポリメラーゼIIやRNAポリメラーゼIの転写機能、pre-mRNAスプライシング機能、さらには、酸化的DNA損傷の修復機構に何らかの阻害効果を持ち、そのことがCS徴候の発症に関連していると考えた。それを証明するため、変異CSB蛋白質にどのような蛋白質が結合しているか否かを調べ、変異CSB蛋白質のみを発現するマウスの作成を行った。(6)UV^s症候群ではあるが、CSB遺伝子を始め、既知のDNA修復遺伝子に突然変異を持たない患者細胞の原因遺伝子クローニングを目的として、微小核融合法による原因遺伝子染色体座位の同定を行った。
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