2009 Fiscal Year Annual Research Report
転写を阻害するDNA損傷の細胞応答機構とその異常疾患の分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
17109006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 亀代次 Osaka University, 大学院・生命機能研究科, 教授 (80144450)
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Keywords | DNA修復 / コケイン症候群 / 色素性乾皮症 / ユビキチンリガーゼ / RNAポリメラーゼII / 微小核融合法 / XPD / CGH array |
Research Abstract |
(1) CSA複合体E3の機能解析:コケイン症候群A群(CSA)複合体ユビキチンリガーゼ(E3)のターゲットの一つがRNAポリメラーゼII(RNAPII)の最大サブユニット(Rpb1)であり、Rpb1のどのリジン残基がユビキチン化されるかを同定した。当該リジンをアルギニンに変換したRNAPIIを発現する細胞を樹立し、その細胞が紫外線高感受性や転写と共役した修復の異常を示したが、転写そのものは正常であることを確認した。(2)UV^sS/A遺伝子のクローニング:転写と共役した修復に異常をもつUV^sS患者(Kps3)は、CSA、CSB遺伝子を始め既知の修復関連遺伝子に変異を持たず、新規の遺伝子(UV^sS/A遺伝子)の突然変異が原因であることを明らかにした。そこで、UV^sS/A遺伝子のクローニングを目的に、Kps3細胞に微小核融合法を用いてマウス染色体を導入し、紫外線抵抗性を獲得したクローンを得、当該染色体を同定した。さらに、CGH array法により原因遺伝子座位を約600kbの領域に絞り込んだ。(3) 新規XPD蛋白質複合体の同定と機能解析:基本転写因子TFIIHは10個のサブユニットからなる蛋白質複合体であり、XPB、XPD、TTAを含み、NERにも必須の因子である。我々は、XPD蛋白質が、TFIIHとは独立して、MMS19やMIP18(新規蛋白質)等と新規複合体を形成することを明らかにし、MMXD(MMS19-MIP18-XPD)複合体と命名した。そして、MMS19、MIP18、XPDが細胞分裂期で紡錘体と共局在すること、それらのノックダウン細胞は分裂期で紡錘体やクロマチンの局在異常を示し、分裂間期細胞で異常核を示すことを明らかにした。また、XP-DやXP-D/CS患者では、XPDのノックダウン細胞同様に、細胞分裂期の紡錘体やクロマチンの局在異常、分裂間期での異常核を高頻度で示すことを明らかにし、XP-DやXP-D/CSの病態にMMXDの機能異常が関与していることを示唆した。
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Research Products
(13 results)