2006 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアの「老い」の総合的研究-セーフティー・ネット制度再構築に向けて
Project/Area Number |
17252002
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松林 公蔵 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (70190494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 隆 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (40092241)
西渕 光昭 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (50189304)
河野 泰之 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (80183804)
水野 広祐 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (30283659)
速水 洋子 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (60283660)
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Keywords | 老い / 高齢者 / セーフティネット / 医療 / 東南アジア / 糖尿病 |
Research Abstract |
昨年度の研究によって、ラオスのソンコン地域ならびににタイ・コンケン地域高齢者では、他の周辺東南アジア諸地域に比して、糖尿病の有病率が有意に高く、これは近年の経済発展と一定の関連があることが明らかとなった。この事実を詳細に確認するために、両当該地域において、60歳以上の高齢者に対するブドウ糖負荷試験を実施し、糖尿病頻度が高い事実を確認した。本年度のフォローアップ調査により、糖尿病高齢者は、非糖尿病高齢者に比して、オズ比3倍の死亡率を示し、その対策の重要性が示唆された。タイでは、重症ケースでは積極的な薬物導入が可能であるが、ラオスでは医療制度の関係で、まだライフスタイルの改善と伝統医療による介入にとどまらざるを得ないのが実情である。しかし、ラオス保健省も当該研究結果を受けて、早急に対策をとりたいとの意向を示しており、そのシステム構築を検討中である。 上記研究との補完において、本邦においても地域在住高齢者に対するブドウ糖負荷試験を実施した結果、65歳以上の地域在住高齢者の12%に新たな糖尿病が検出された。日本人高齢者では、糖尿病ならびに糖尿病予備群である耐糖能異常者の割合は50%弱を数え、老年医学領域における糖尿病の重要性をあらためて再認識させる結果となっている。東南アジア諸国と異なり、医療アクセスが容易でしかも、自治体健診の発達した本邦においても、従来の空腹時血糖値やヘモグロビンAICのみによるスクリーニングでは糖尿病ならびに耐糖能異常の検出には不十分なことがわかり、地域在住者に対するブドウ糖負荷試験導入の重要性を提言している。
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Research Products
(7 results)