2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノゲル工学による新規ヒドロゲル複合材料の創製とバイオマテリアル応用
Project/Area Number |
17300147
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
秋吉 一成 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (90201285)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 泰彦 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教授 (90280990)
渡辺 昭彦 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助手 (30126263)
森本 展行 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助手 (00313263)
|
Keywords | ナノゲル / ヒドロゲル / 生分解性 / リポソーム / アパタイト |
Research Abstract |
本研究では、ナノゲルに関するこれまでの知見をもとに、自己組織化ナノゲル法をさらに発展させ構造制御された新規ナノゲルの設計法の確立およびナノゲルをビルディングブロックやテンプレートとして活用し、ナノ構造制御された機能性ヒドロゲルの設計法(ナノゲル工学)を確立し、新規バイオマテリアルへの応用展開を目的とする。 機能性ナノゲルの設計と評価 CHPナノゲルを生分解性を有する結合で架橋することにより、組織の再生に伴い分解し、長期にわたって薬物を効率よく徐放する人口細胞外マトリクスの合成法の確立を図った。具体的には、アクリロイル基修飾CHP(CHPA)ナノゲルをメルカプト基修飾ポリエチレンオキシド(PEOSH)を生理条件下で反応させてヒドロゲルを調整し、そのゲル化挙動、ゲル構造および分解性について詳細に調べた。CHPAとPEOSHを混合することにより、CHPA終濃度10-30mg/mlにおいて透明なヒドロゲルを得た。ゲル化速度および調整されたゲルの含水率は、CHPAのゲル調整時の終濃度およびアクリロイル基修飾率に依存した。CHPA終濃度30mg/mlにおいては、10分以内の完全にゲル化が進行した。また、得られたヒドロゲルはいずれも90%以上の高い含水率を有していた。CHPA-PEOSHゲルの断面をフリーズフラクチャー法により観察したところ、CHPAナノゲルと考えられる15-20nm程度の構造が確認できた。よって、CHPAナノゲルはその構造を維持したままヒドロゲル内に固定されていることが分かった。このゲルについて分解挙動を調べたところ、10%血清中では数日、PBS中では数種間程度で分解されることが分かった。以上の結果より、生分解性ナノゲル架橋ヒドロゲルは、再生治療において薬物を徐放する人口細胞外マトリクスとして機能することが期待できる。 ナノゲル-Qdot複合体の設計 塩基性のナノゲルがQdotの効率の良いキャリアになることを報告してきたが、本年度はナノゲル-Qdot複合体の形成機構と細胞内取り込み挙動の詳細を検討し、再生医療における細胞のトラッキングに用いるシステムの確立を図った。ナノゲルはQdot表面のタンパク質と相互作用して複合体を形成することまたナノゲルにより運ばれたQdotは、毒性が低く3週間にわたって細胞内にとどまり蛍光を発することが明らかになった。 ナノゲル-アパタイト複合体の設計 希薄ヒドロキシアパタイト水溶液からナノゲルを核としてナノゲル-CaP複合微粒子(粒径約30nm)を得る新規な手法を見いだした。この複合微粒子は水中で数ヶ月間安定に分散状態を保持した。ナノゲル内に種々の薬物やタンパク質を取り込ませることが可能なことから、このナノゲルとCaPの複合体はpH応答性徐放能を有する新規ドラッグキャリアとして期待できる。
|
Research Products
(14 results)