Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島津 弘 立正大学, 地球環境科学部, 教授 (90251909)
小松 陽介 立正大学, 地球環境科学部, 講師 (90386516)
瀬戸 真之 立正大学, 地球環境科学部, 助手 (10386518)
小玉 浩 立正大学, 地球環境科学部, 非常勤講師 (90298084)
山本 博 (独)農業, 食品総合研究機構畜産草地研究所資源循環・溶脱低減研究草地サブチーム, 上席研究員 (00355075)
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Research Abstract |
(1)丘陵地谷頭部での降雨-浸透-流出過程について,観察,連続的観測および測量・土層厚分布調査等を組み合わせて考察し,多重的発達過程を経て形成された谷頭凹地を埋める土層中での貯留による流出調節効果を明らかにした.成果の一端を2007年5月の日本地球惑星科学連合大会で発表する.この知見は,気候変化や人為の影響の下での流域の水循環および地形形成様式・強度の変化予測に発展させることができ,また,流域の水文地形環境保全にも役立てられる可能性がある. (2)火山麓緩斜面を開析する谷に沿う複数地点で流出の連続観測と土壌水分測定を実施し,浸透水が土層を通って流出する経路と,より下位の火山砕屑物層を経由して湧出する経路を識別し,河川水涵養における両経路の寄与を量的に捉えようとしている.成果の一部を国際誌に公表した.この火山麓緩斜面は放牧地と林地とに分けられるので,水中の硝酸性窒素濃度を一種のトレーサーとして流出経路の識別を行うことが可能と考え,観測を継続している. (3)低標高の山地における凍結・融解およびそれに伴う砂礫の移動と特徴的微地形の形成について,前年度から継続している反復測量および気温・地温の連続観測に加え,地温観測および砂礫を露出させる要因と考えられる強風の観測を開始した.その一部は内外の学会等で発表した.今冬季の観測記録を間もなく回収し,解析する予定である.これらの知見は,最終氷期における山地斜面での砂礫移動,流域への砂礫供給の考察にも活用できると考えられる. (4)高標高山地に発する河川の上流部での流量変動にともなう流路の変遷について,実測によるモニタリングを継続し,その今までの成果の一部を公表した.この成果は,降水量変動と対照して解析することにより,将来の気候変動による地形変化傾向の予測に活用できる可能性がある. (5)河川中流部での人為を発端とする半自律的河成地形変化について,各時期の地形図・空中写真・測量資料の解析,堆積物・土壌・植生の観察および微地形の測量等を組み合わせて考察し,成果の一部を公表した.これは,人為に誘導された地形変化の実例としてだけでなく,気候変化等にともなう地形変化の一端に関する一種の実験という意義も有すると考えれる. (6)上記の各水文地形プロセス,およびその連鎖が,想定される気候変動にともなって,流域内でどのように変化するかについて,本研究の最終年度に向けて考察を進めようとしている.
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