2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17310010
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
大田 啓一 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (80022250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伴 修平 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教授 (50238234)
須戸 幹 滋賀県立大学, 環境科学部, 講師 (50206570)
丸尾 雅啓 滋賀県立大学, 環境科学部, 講師 (80275156)
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Keywords | 光化学反応 / 水圏化学 / 溶存有機物 / 腐植物質 / 琵琶湖 |
Research Abstract |
水中の光化学反応が湖沼・河川水の主要な難分解溶存成分である腐植物質の分布に果たす役割を評価するために、2005年9月に、琵琶湖北部の菅浦沖において腐植物質濃度の鉛直分布とその経時変化についての連続観測を行って次の結果を得た。 (1)腐植物質濃度は堆積物直上で最も高く、有光層内において低く、水面において最も低いこと。 (2)腐植物質濃度は有光層内において日変化し、午後早くに最低濃度に達すること。 (3)腐植物質を構成する分子量1,000前後の化合物群は、鉛直的にも経時的にも相対比を変えること。 (4)以上の濃度分布の特徴は水中光の強度とはほぼ逆相関すること。 これらの事実は水中の太陽光による腐植物質の光化学分解の可能性を強く示唆するものである。この可能性を確かめるために菅浦沖および、大学構内の水中で腐植物質の光化学分解実験を実施した。実験は琵琶湖湖水を石英ボトルに封入して、太陽光を照射し、経時的に腐植濃度を測定することによって行った。その結果は、腐植物質の光化学分解が一次反応的に進行することを示し、構成成分の経時変化も菅浦沖の現場観測の結果と類似するところから、琵琶湖表層における腐植物質の濃度分布に太陽光が関わる光化学反応が支配的に寄与していることか明らかになった。 琵琶湖における腐植物質濃度は上記のごとく、水深とともに上昇傾向を示し、最深部の堆積物直上で急上昇する。このことは堆積物が腐植物質の供給源のひとつとなっていることを示唆するものである。これを確かめるために堆積物間隙水に含まれる腐植物質の濃度分布を詳細に調べた結果、腐植物質形成への堆積物最表層の寄与を確認することができた。さらに室内における生分解実験からは、バクテリアによる植物プランクトンならびに各種有機物の分解過程においても腐植物質が生成することを明らかにした。 これらの成果は、査読付き論文1報において発表するとともに、国内外の学会における5つの講演において公表した。
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Research Products
(1 results)