Research Abstract |
2004年9月の台風18号で被災した,樽前山麓の苫小牧国有林内のカラマツ人工林(100ha)において,2005年8月に微気象(放射,風向風速,降水量,気温,湿度,地温,土壌水分,CO_2濃度など)およびCO_2・エネルギーフラックスの連続観測を開始した。観測サイトは,台風による倒木の木材部分のみを搬出した被災跡地であり,枝葉および切り株などのバイオマスが大量に残置されている。被災跡地に約1.5haの試験区を設け,高さ約4mのタワーを新たに建設し,渦相関法を用いたフラックス観測を行っている。また,デジタルカメラによる地表面状態のインターバル撮影を行い,草本植生などの回復過程のモニタリングも開始した。 試験区の測量を行い,空間的な不均一性を評価するための基盤となる10mおきのグリッドを設定するとともに,標高データを取得した。また、各グリッドで土壌のサンプリングを行い,土壌水分の空間分布を把握するとともに,炭素と窒素の含有量の分析を行った。さらに,主に切り株から成る大型の残置バイオマスの位置と大きさ(体積)の調査を行った。リモートセンシングに関しては,2005年9月に航空機による赤外画像の撮影を行った。また,土壌呼吸量の自動測定を行うためのチャンバーシステムを作製し,つくばで試験を行った。 上記の観測データに関しては,現在解析中のため,特筆すべき結果は得られていないが,微気象について2004年以前のカラマツ林での観測結果と比較すると,森林の消失により,1)地表面の放射反射率が上昇,2)地温の季節変化が増大,3)地中熱流量の振幅が増大,などの傾向が明らかとなった。
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