2006 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア・中東地域の国家制定法と伝統的秩序規範の協働関係に関する法文化的研究
Project/Area Number |
17330003
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
後藤 武秀 東洋大学, 法学部, 教授 (90186891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 明 東洋大学, 文学部, 教授 (50079224)
佐藤 俊一 東洋大学, 法学部, 教授 (80114180)
斉藤 洋 東洋大学, 法学部, 教授 (80316786)
子島 進 東洋大学, 国際地域学部, 助教授 (90335208)
長津 一史 東洋大学, 社会学部, 助教授 (20324676)
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Keywords | 東南アジア / 中東 / 国家制定法 / イスラーム / 仏教法 / 華人 / 伝統的規範 / 協働関係 |
Research Abstract |
アジア諸地域においては、「伝統的秩序規範」と近代以降のヨーロッパ文化の影響によって整備されてきた「国家制定法」との協働関係によって、社会秩序が形成されている。従来の研究では、法学的研究では国家制定法に関心が注がれ、他方、社会学的・歴史学的研究では伝統的規範に関心が注がれ、両者の協働関係についてほとんど解明されてこなかった。本研究は、このような従来の研究を乗り越え、諸規範の協働関係を解明することを目的とする。 平成18年度は、昨年度に引き続き、東南アジアにおけるイスラーム法、アダット法、華人社会の家族規範を中心とする伝統的規範と国家制定法の協働関係について代表者後藤武秀がこれを総括しつつ研究を進めた。具体的には、後藤武秀が台湾から東南アジアにかけて居住する華僑の家族規範と国家制定法の関係を解明し、佐藤俊一は地方自治を中心として伝統的社会構成と国家による法的強制の関係について研究した。また、斉藤洋は対における仏教規範と国家制定法の関係を解明し、小林正夫はネパールにおける家族規範と国家制定法の関係を研究した。 第2の課題は、東南アジアからトルコに及ぶ広範な地域のイスラーム法と国家制定法の協働関係の歴史的・法文化的解明である。これについては、後藤明を中心に研究を進めた。後藤明は、異文化・異宗教の共存において国家制定法の果たす役割について解明を進め、三沢伸生はトルコにおける長期滞在調査を基に、オスマン帝国以来のイスラームと国家制定法の関係について解明を進めた。特に、トルコは近代においてヨーロッパ近代法とイスラームとの調整の歴史を有しており、その意味において貴重な研究である。
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