2006 Fiscal Year Annual Research Report
行動ファイナンスに関する実証研究-企業と家計のファイナンス行動のパズルの解明-
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17330088
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
城下 賢吾 山口大学, 経済学部, 教授 (20183840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊原 茂樹 関西学院大学, 商学部, 教授 (10030719)
砂川 伸幸 神戸大学, 大学院経営学研究科, 助教授 (90273755)
佐々木 一郎 広島経済大学, 経済学部, 助教授 (60330651)
清水 一 高松大学, 経営学部, 講師 (50368841)
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Keywords | 気質効果 / モーメンタム / 価格反転 / 月次効果 / cross-shareholding / entrrnchment / 国民年金未加入 / 自信過剰 |
Research Abstract |
城下は過去行われた利益情報の過小反応とモーメンタム効果の実証分析を広範にサーベイしている。わが国において、過小反応効果は観察されるものの、はっきりとしたモーメンタム効果は観察されていない。他方、欧米市場では過小反応もモーメンタム効果も観察されている。なぜ、国際市場においてこのような差が存在するかについてはさまざまな説明がなされているが、まだはっきりとした確証は得られていない。 つぎに、2つの実証分析を森保と共同で行った。1つは過去52週で高値であったものを購入し、高値から大きく値下がりしている株式を売るモーメンタム戦略が有効かどうか、また、それと類似した過去52週の安値を購入し、安値から大きく値上がりしている株を売却する戦略が有効かどうかを分析した。検証結果によれば、日本の株式市場においては、最高値を買い、大きく値下がりした株を売る戦略が有効に機能しないことが明らかになった。むしろ、最高値近辺にある株を売り、最高根から大きく値下がりしている株を買うという戦略が有効であった。最安値戦略は日本の市場で有効であった。 2つ目は日本の株式市場で、短期的な価格モーメンタム効果、長期的なリバーサル効果が存在するのかどうか、あるいは、価格は短・長期的に反転するのかどうかを東証1部上場企業と全上場企業を対象に分析した。検証結果によれば、短・長期的に価格反転が観察された。リスク調整した後でも短期的な反転効果は消滅しなかった。 砂川は経営者の安泰の観点から株式持合いの解消の論理を示している。株式持合いは経営者の安泰を高める一方で、エイジェンシーコストの増大により、敵対的乗っ取りのインセンティブを高める。乗っ取りを避けるために、経営者は持合を解消しなければならない。モデルはなぜ日本企業が1990年代に持合が解消したかを説明している。 佐々木は国が強制的に加入させるものである国民年金をめぐる若年世代を中心にした、未加入・未納の問題を取り上げている。国民年金は非常に重要な老後準備手段となっている。研究では国民年金未加入・未納理由のうちこれまで未知であった要因として、加入義務意識に着目している。若年世代(大学生)を対象にしたアンケート調査に基づく分析の結果、加入義務意識は国民年金加入・未加入行動に影響を及ぼしていること、さらに、年金不信による未加入誘発効果を抑止していることを示唆している。 清水は大学生にアンケートを行い、人が譲許を変えることによっても自信過剰になる傾向にあるかを検証した。結果によると、ペナルティを与える場合とそうでない場合に自信過剰の程度が異なることが明らかになった。 次に、人員削減化株式パフォーマンスにどのような影響を与えるかを検証した。結果によると、人員削減が株式パフォーマンスによい情報を提供していることが明らかになった。
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Research Products
(9 results)