2006 Fiscal Year Annual Research Report
親密な社会関係における「否定表明」と「自律性」に関する研究
Project/Area Number |
17330123
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
高橋 正人 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (20236318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大山 博史 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (10340481)
大川 一郎 筑波大学, 大学院人間総合研究所, 教授 (90241760)
川崎 友嗣 関西大学, 社会学部, 教授 (10298838)
畑下 博世 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (50290482)
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Keywords | 親密性 / 否定表明 / 自立性 / 高齢者 / 世代 / エイジズム |
Research Abstract |
今年度は、まず二つの地域(沖縄、青森)の高齢者(21名)を対象にライフヒストリー調査を実施した。聞き取りの内容は生い立ちから生活全般に及んだが、とくに重大な歴史社会的な出来事との関連に焦点をあわせたものを中心とし、戦争体験や終戦直後の生活状況などについては詳しく聞き取りを行った。また写真、手紙などの生活資料についても、重要な参考資料としてデータ化を試みた。聞き取り内容はすべてテープおこしをし、データ化作業をおこなった。 またR大学卒業生を対象とした郵送調査(5,000名)を実施した。卒業年は昭和18年から平成15年にわたり、85歳から25歳までの年齢層をカバーすることになった。年度末に調査を実施したこともあり、回収数はまだ確定していない。聞き取りの内容は20世紀の戦後日本の経済活動を担った世代の価値意識を中心としたものであり、分析の焦点は経済的価値とエイジズム、自立性などの価値意識である。 今回のライフヒストリー調査と郵送調査によって、わが国の20から21世紀に生きる高齢者の生活記録を得ることができた。その調査結果データを分析する際の一つの焦点は「世代特性(世代的統一性)」であり、彼らの人生記録の中に、歴史社会的な規定力を探り出すことである。詳細な分析はこれからの課題であるが、現時点で明らかになりつつあるのは、戦争と戦後の社会混乱が、彼らの人生に「生きる意味」を与えたということである。そしてまたそれらは、地域性によっても大きく影響を受けているということである。 今後は高齢期の社会関係における親密性と自立性の問題を世代比較の視点を明確にしながら、歴史社会的な規定関係の中で分析を行うが、それによって社会関係、価値意識を「世代性(Generativity)」の問題としてとらえることの意義を明らかになる。
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