2007 Fiscal Year Annual Research Report
親密な社会関係における「否定表明」と「自立性」に関する研究
Project/Area Number |
17330123
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
高橋 正人 Ritsumeikan University, 産業社会学部, 教授 (20236318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大山 博史 青森県立保健大学, 教授 (10340481)
大川 一郎 筑波大学, 教授 (90241760)
川崎 友嗣 関西大学, 教授 (10298838)
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Keywords | 高齢者 / 世代 / 親密性 / 自立性 / 否定表明 / 若年者 / 社会関係 / 戦争体験 |
Research Abstract |
今年度は、これまで実施してきた若者を対象にした「親密性」調査、高齢者を対象にした「介護と否定表明」調査、高齢者のライフヒストリー調査、大学同窓生を対象にした「世代比較」調査、これらの一連の調査データについて分析することを中心にして活動した。 分析のひとつの焦点は社会関係における「親密性」と「否定表明」の関連をみることであったが、若年者と高齢者の世代による差異が明らかになった。若年者は人間関係一般に自律的な「否定表明」が必要であると認めつつも、「否定表明」を避けて穏やかな関係をつくとうとする傾向がある。それに対して高齢者は必要であると判断をすれば、「否定表明」を避けることはない。しかし高齢者の方が感謝などの関係を肯定するような表明をすることも多く、基本的な態度として、親密な関係形成に肯定的である。若年者は親密な関係を築く基本的な認識において、否定的な態度がみとめられた。社会関係における「親密性」については、世代による差異が認められ、若年世代ほど、「親密性」は「閉じた関係」の中で形成されるのに対し、高齢世代の親密性は「開かれた関係」の中で、「否定表明」などを伴いながら形成される傾向が認められた。親密な社会関係における「否定表明」の世代差は、若年者よりも高齢者の方に高度な「自律性」を認める根拠となる。さらに高齢者のライフヒストリー調査からは、「語るべき」戦争体験をもつ者と「語るべきでない」戦争体験をもつ者の差異が「否定表明」の仕方と関連していた。「語るべき」戦争体験をもつ者はより積極的に「否定表明」をする傾向があった。この戦争体験についての意識の差異には地域差の要因も関連していると推測される。
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