2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17340032
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
新井 朝雄 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80134807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 晶孝 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00128597)
山ノ内 毅彦 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30241293)
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Keywords | ディラック作用素 / カイラル・クォーク・ソリトン / 超対称性 / 基底状熊 / 弱ワイル関係式 / 時間作用素 / ハミルトニアン / 量子場 |
Research Abstract |
(1)原子物理学において現われるカイラル・クォーク・ソリトンモデル(CQSM)の数学的に厳密な解析を行い,新しい結果を得た.CQSMのハミルトニアンHはDirac型の作用素であるが,これは,質量項が行列値関数であるという点において,標準的なDirac作用素とは異なるものであり,これまでに数学的な研究はほとんどないといってよい.この意味でも,この研究は新規で真に独創的なものであり,得られた結果はまったく新しいものである.作用素Hについて,次の側面に関する結果が得られた:(i)超対称的構造;(ii)スペクトル;(iii)基底状態の存在;(iv)対称性による簡約;(v)ユニタリ同値なモデル;(vi)CQSMの拡張. (2)一般化された弱Weyl関係式と量子動力学の研究.量子力学の基本原理のひとつである正準交換関係を若干強くした関係式として弱Weyl関係式とよばれるものがある.ハミルトニアンに関して弱Weyl関係式をみたす作用素は時間作用素とよばれ,これは量子力学的状態の時間発展において,状態の遷移確率の時間減衰に関わることが知られていた.本研究では,弱Weyl関係式を一般化した,非常に普遍性の高い関係式として,一般化された弱Weyl関係式なるものを導入し,その作用素論的な内容を詳しく調べた.当然のことながら,時間作用素の概念も一般化された. 特に,時間-エネルギーの不確定性関係の厳密な定式化と一般化,そして量子力学的状態の遷移確率の時間減衰がベキのオーダーで起こるための十分条件が,一般化された時間作用素を用いて見出されたことは特筆に値する.さらに,一般化された弱Weyl関係式の豊富な例の構成法を示したこと,またテンソル積表現や量子場の理論への応用上重要なフォック空間表現を構成したことも重要な成果である.
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Research Products
(3 results)