2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17340032
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
新井 朝雄 北海道大学, 大学院理学研究院, 教授 (80134807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 晶孝 北海道大学, 大学院理学研究院, 教授 (00128597)
山ノ内 毅彦 北海道大学, 大学院理学研究院, 助教授 (30241293)
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Keywords | ディラック・マクスウェル作用素 / 相対論的量子電磁力学 / ハイゼンベルグ作用素 / 生き残り確率 / ハミルトニアン / ポラロン / 時間作用素 / スペクトル |
Research Abstract |
(1)スピン1/2の荷電素粒子であるDirac粒子が量子電磁場と相互作用を行う系の時間発展について詳しい解析をおこなった。この系のハミルトニアンが生成する強連続1パラメーターユニタリ群は、Dirac粒子の位置作用素の定義域を不変にすることを証明した。さらに生き残り確率に対して、Dirac粒子の電荷qに関する漸近展開を導いた。 (2)(1)の系で系の全運動量が一定の場合に、Dirac粒子はポラロンとよばれる状態を形成する。この状態を記述するハミルトニアン---相対論的ポラロンハミルトニアン---の非相対論的極限を考察し、それが非相対論的量子電磁力学のポラロンハミルトニアンに強擬レゾルヴェント収束の意味で収束することを証明した。 (3)(1)の問題に関連して、ハイゼンベルク作用素の一般論を構成した。特に、積分方程式を用いてハイゼンベルク作用素を表す普遍的な公式を得た。 (4)量子力学的ハミルトニアンに正準共役な対称作用素は時間作用素とよばれる。これには基本的に2種類あり、ひとつは弱時間作用素とよばれ、もうひとつは強時間作用素とよばれる。ハミルトニアンが下に有界であるか上に有界であるならば、強時間作用素は本質的に自己共役でないことが知られている。したがって、その場合、強時間作用素のスペクトルは、上半平面、下半平面、全平面のいずれかになる。研究代表者は、ハミルトニアンの構造と強時間作用素のスペクトルの関係を研究し、次の結果を得た:(i)ハミルトニアンが下に有界ならば、強時間作用素のスペクトルは上半平面か全平面かのどちらかである。(ii)ハミルトニアンが上に有界ならば、強時間作用素のスペクトルは下半平面か全平面かのどちらかである。(iii)ハミルトニアンが有界ならば、強時間作用素のスペクトルは全平面である。さらに、具体的で非自明な強時間作用素(アハラノフ-ボーム時間作用素や相対論的シュレーディンガー作用素の時間作用素)のスペクトルを正確に同定した。
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Research Products
(7 results)